白老町立国保病院の経営難が続いている。町が確定した2019年度決算では、病院事業の収益的収支で4800万円の経常損失が発生し、3年連続の赤字となった。医師の退職に伴い、収入の核となる入院、外来の患者数が落ち込んだことが背景にある。今年度も新型コロナウイルス感染拡大による受診抑制も加わって経営は好転せず、苦境に陥っている。
医業収益などの収入は7億4067万6128円、人件費や材料費などの支出は7億8868万5412円。差し引きで4800万9284円の経常損失となった。病院事業会計は13年度策定の経営改善計画に基づき、毎年一般会計からの繰入金を受けており、19年度も追加補正も含めて3億2750万円を繰り入れたものの、赤字を出した。
背景にあるのが、医師の退職。昨年12月の内科医1人の退職で、常勤医が2人体制となったことから患者が減少し、医業収益の落ち込みを招いた。19年度の入院患者数は延べ6397人で前年度に比べ6・7%減。外来は同2万7340人で2・6%減となり、経営を立て直すことができなかった。
20年度も経営不振から脱却できず、当初予算の2億7750万円に加えて今月、資金不足を回避するため、5500万円の繰入金を追加した。常勤医の欠員を埋める医師が確保できず、コロナ感染拡大による外出控えなどで受診抑制も起き、医業収益をさらに落ち込ませたからだ。
同病院によると、コロナ感染が国内で広がり始めた2月以降、7月までの患者数は前年同期比で入院46%減、外来12%減となり、厳しい運営が続いている。
経営改善に向けて同病院は11月以降、現在の急性期病床50床のうち22床を回復期(地域包括ケア病床)へ転換するほか、リハビリ室も設けて収入増につなげる計画。また、懸案の医師確保に関しても、11月に外科医、来年4月に内科医の採用を予定しており、常勤医の体制強化で経営を好転させたい考えだ。
同病院は、現施設の隣地に25年度、新病院(鉄筋コンクリート造り2階建て、延べ床面積4100平方メートル)を開設する計画を立てている。高齢社会の進展を見据えた新病院は地域包括ケア病床を含む40床を備え、医療と介護サービスを提供する介護医療院も併設した施設とし、事業費は27億円を想定。24年度に着工する予定だ。建て替えに向けても、現病院が不良債務を発生させないように赤字体質からの脱却を図ることが必須のため、同病院は「さまざまな取り組みで収益を上げ、経営を改善していきたい」と言う。

















