日高線廃止合意 町長は苦渋の決断、住民団体は賛否分かれる

日高線廃止合意 町長は苦渋の決断、住民団体は賛否分かれる
新ひだか町で行われた臨時町長会議。JR日高線の廃線について7町とJR北が合意した

 JR日高線の鵡川―様似間が来年4月1日付で廃止され、バス路線に転換することが正式に決まった。5年9カ月に及ぶ議論の末、地域の公共交通体系を維持させるため、各町とも重い決断を下した形だが、沿線関係者の受け止めは賛否が分かれ、地域住民も複雑な表情だ。

 「鉄路を残してほしいという思いはみんな持っている。だが、将来のことを考え、住民の足を確保するため廃線に合意した」―。

 日高町村会の坂下一幸会長(様似町長)は6日の臨時町長会議終了後、そう胸中を明かした。バス転換を決断したが、利用者が増えなければ公共交通として維持することは難しく「長くバスに乗り続けてもらうため、工夫をしないといけない」と次の課題を見据える。

 日高総合開発期成会の鳴海修司会長(新冠町長)は「国や道に要望したが状況は変わらず、JRも意思を曲げなかった。住民のために苦渋の決断をした」と複雑な心境を述べる。

 鉄路存続を訴えていた浦河町の池田拓町長は「交通手段の多様性は地域の魅力の一つ。鉄路を残したい思いは今も変わらないが残念だった」と悔しさをにじませる。廃止を求められている道内の他線区に配慮し「悪しき前例になってはならない」と話す。

 住民団体の受け止め方はさまざまだ。鉄道にこだわらず現実的な公共交通体系の構築を目指す日高の公共交通を考える有志の会の高橋幸二代表(54)は「一部の住民が『大変だ』と言う状況が5年以上続いていた」と冷静に指摘する。「新しい路線バスに各町のバスを連携させ、次の世代のために新技術の導入などを検討してほしい」と求める。

 JR日高線を守る会の村井直美代表幹事(51)は「バス運転手の確保や護岸整備は何も決まっていない。今まで何をやっていたのか」と批判する。町長会議での議論なども満足できる情報はなく「鉄道は地域にとって掛け替えのない財産。バス転換するなら利用者や専門家に聞かないとよい路線にならない」と話した。

 日高線の8割を占める区間の廃線は東胆振も関係する。

 胆振、日高の地域活性化などを目指す官民組織「北海道新幹線×nittan地域戦略会議」で会長を務める岩倉博文苫小牧市長は「残念な思いもあるが、日高に住む人たちの足を守るためにも地域が一つとなってバス転換に向けたプロセスを進めてほしい」と期待を込める。

 オブザーバーの立場で見守ったむかわ町の竹中喜之町長は「将来を見据えた7町の重い決断に敬意を表したい」と理解を示し「JRは経営努力の徹底はもちろん、もっと地域に寄り添う視点を持ってほしい」と要望する。

 沿線自治体の決断に対し、JR北は「地域の意向を固めていただいたことを重く受け止め、苦渋の決断と大きな前進に感謝を申し上げる」とコメントした。

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