白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)の中核施設・国立アイヌ民族博物館(佐々木史郎館長)は、アイヌ民族関連書籍が閲覧できるライブラリを来場者に開放している。新型コロナウイルス対策で7月12日の開業以降、閉室にしていたが、9月に解除した。担当職員は「書籍を通してアイヌ民族の文化や歴史などを知ってほしい」と利用を呼び掛けている。
ライブラリは博物館1階に開設。民具や口承文芸、刺しゅうなど手仕事、伝統芸能といったアイヌ文化や歴史に関する書籍を中心に置き、専門的な学術書や写真集、絵本、図鑑も幅広く取りそろえた専門図書室とした。
ライブラリの書架に置いた図書は700冊。この他、資料請求によってライブラリ内で閲覧できる収蔵資料が1万5000冊ある。本の貸し出しは行っていないが、室内にテーブルや椅子を置き、書架の本を手に取ってゆっくり読むことができるようにした。
本の並べ方にも工夫を凝らした。アイヌ民族の食文化を紹介した本の近くに料理本、伝統儀式イオマンテ(熊の霊送り)についての書籍の周囲には木彫り熊やヒグマの生態に関する本を置くなどし、関連資料を見つけやすくした。
世界の先住民族の関連書籍も配置し、文様などアイヌ文化との違いや関連性も学べるようにした。選書に当たった笹木一義研究員は「文化の比較を通じ、多文化共生の意義について理解を深めてもいたい」とし、ライブラリ担当で司書の工藤綾華さんも「アイヌの物語など子どもが楽しめる絵本も用意しており、気軽に足を運んでもらえば」と言う。図書などに関する利用者の質問にも対応する。
博物館は図書購入で蔵書を増やしており、「将来的には7万冊以上取りそろえたい」としている。
開室時間は午前9時から午後5時。有料で本のコピーサービスも午前9時半から午後4時の時間帯で行っている。新型コロナウイルス感染防止策で同時に入室できる人数は、10人に制限している。蔵書、新着図書は同博物館のホームページでも検索できる。




















