進む「脱はんこ」の動き 業界に追い打ち 「とどめ刺される」募る危機感 時代の変化に合わせ文化守る

進む「脱はんこ」の動き 業界に追い打ち 「とどめ刺される」募る危機感 時代の変化に合わせ文化守る
印鑑を彫る浜西店主。はんこ需要が減少する中、今後の店舗経営の在り方を模索中だ=浜西はんこ店

 国などが行政改革の一環で進める事務手続きの「脱はんこ」に、苫小牧市内の専門店が危機感を募らせている。ペーパーレス化や人口減少などを背景にはんこ需要は年々落ち込んでおり、後継者不足も相まって閉店が相次ぐ業界にとっては死活問題。各店は動向を注視している。

 「はんこの需要は徐々に減っている。今回の動きでとどめを刺される」。1970年に開業した浜西はんこ店(旭町)の店主、浜西世志治さん(82)はため息をつく。「富山県で修業を終えた時、親方から『これで一生食いっぱぐれないな』と声を掛けられたが、時代は変わった」。

 官公庁での事務手続きの簡略化やIT(情報技術)の発達などにより、科目印や決済印の利用が減少。20年前に10軒ほどあったはんこ店は「100円ショップ」やチェーン店の進出で競争が激しくなり、閉店が相次いだ。「元気なうちは続けようと思っていたが、今は店を閉じるか悩んでいる」と打ち明ける。

 弘文堂(王子町)の店主、秋山集一さん(70)は「事務処理の簡素化はある意味、やむを得ない」と指摘。脱はんこは「まず国や大企業で進み、中小企業が多いこの地域への影響はこれから出てくる」とみる。

 同店は知人などの依頼でオリジナルはんこを作ることもあるといい、秋山さんは「はんこ文化の発信、仕事以外でも押したくなる商品を作るなど時代の変化に合わせ、われわれも変わることが大事になる」と語る。

 地域の事業所や学校などから、はんこ製作を受注している山梨印商(見山町)では、300円台の認印や5000円台の銀行印などが売れており、「今すぐ影響はない」としつつ、動向を注視。同店代表の佐々木進太郎さん(35)は「はんこはすべて店で作っている。要望があれば、趣味用のはんこにも対応できる」とアピールする。

 一方、苫小牧市は職員の休暇取得や時間外勤務の申請手続きで業務の電子決裁化、脱はんこを進めており、拡大も検討中。市民の各種手続きに広がる可能性もあり、市行政監理室は「業務のデジタル化の検討はすでに進めている。国から正式に示される方針を注視したい」としている。

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