ウポポイ 道内の保存会と連携 各地のアイヌ古式舞踊披露へ

ウポポイ 道内の保存会と連携 各地のアイヌ古式舞踊披露へ
国の重要無形民俗文化財アイヌ古式舞踊を踊る白老民族芸能保存会

 アイヌ民族文化財団(本部札幌市)は、道内のアイヌ古式舞踊保存会と連携し、白老町のアイヌ文化発信拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)で各地域の伝統舞踊を披露する計画だ。国の重要無形民俗文化財に指定されている古式舞踊を上演し、アイヌ文化の深みと多様性を伝える。早ければ今年度の冬季プログラムに組み入れる。

 アイヌ古式舞踊は、儀礼や祭礼の際に舞うアイヌ民族の伝統芸能。イオマンテリムセ(熊送りの踊り)など信仰や暮らしに根差した踊りや歌には、地域ごとに特色がある。アイヌ民族文化財団は、管理運営するウポポイに道内各地の保存会を招き、各地域で伝承されている古式舞踊を来場者に鑑賞してもらうプログラムづくりを検討。北海道アイヌ協会の協力を得て、「できれば今年度の冬季プログラムに組み込むことができれば」と同財団の対馬一修運営本部長は言う。

 古式舞踊は、1984年に国の重要無形民俗文化財となり、白老民族芸能保存会や千歳アイヌ文化伝承保存会など道内17保存会が保護団体に指定されている。2009年にはユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産にも登録された。ウポポイでは若手職員による古式舞踊が上演されているが、各地域で受け継がれてきた伝統の民俗芸能を加えることで「昔から伝承されてきた深みにあるアイヌ文化と、その多様性を伝えたい。古式舞踊に臨む若手職員の刺激にもなれば」と言う。

 同財団は今後、各保存会を招くための費用や実施方法などを具体的に検討。今井太志事務局長も「可能であれば今年度内に実施できるよう調整を進めたい」と話す。

 17保存会で構成する北海道アイヌ古式舞踊連合保存会の代表を兼ねる北海道アイヌ協会の大川勝理事長は「実施に向けては財団側との協議が必要になるが、ウポポイとの連携で保存会活動が後押しされれば」と話す。ウポポイを核に各地域とのネットワークを築き、アイヌ文化全体の振興につながることを期待する。

 白老民族芸能保存会の長谷川邦彦会長もウポポイとの連携を前向きに捉えている。「各地の特色ある舞踊を国内外に発信することは重要だ。ウポポイの若手職員の勉強にもなる」と言う。一方で各地保存会メンバーの高齢化が進んでいるとし、「ウポポイとの関わりだけでなく、各地域がそれぞれの伝統文化を守り、推進していく行政支援など対策も欠かせない」と指摘する。

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