白老町の仙台藩白老元陣屋資料館友の会は、同館での解説ボランティア活動の際に着る陣羽織の製作に取り組んでいる。幕末の北方警備拠点・白老仙台藩陣屋を統率した三好監物(1814~68年)愛用の陣羽織をモデルに作り、年内に10着をそろえる予定だ。友の会は「陣羽織姿で陣屋をアピールしたい」と作業に張り切っている。
国の史跡・白老仙台藩陣屋跡にある同資料館は、刀剣や甲冑(かっちゅう)、絵図など、陣屋や駐屯した仙台藩士の関連資料を展示し、アイヌ民族と藩士らの交流を含めた歴史を紹介する町の施設。館内の案内や展示物の解説には、友の会の解説員らがボランティアで当たっている。
アイヌ文化発信拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)の開業で今後、来館者が増えていくと予想される中、友の会は「陣屋にちなんだ陣羽織姿で来館者を迎えたい」と製作を企画。同館が所蔵する三好監物の陣羽織の寸法を測って型紙を作り、地域住民から提供された着物の布や帯を材料に再現の作業を進めている。
女性会員らメンバー6人が8月下旬から毎週土・日曜日、同館などで布の裁断や縫製に取り組み、これまでに2着を仕上げた。解説員が試験的に着用して来館者を案内したところ、「陣屋のイメージが伝わる」と好評を得たという。メンバーらは、装飾的な仕立ての立派な陣羽織を身にまとう三好監物の姿を想像しながら、引き続き作業に当たり、残り8着を年内に完成させる考えだ。
製作に携わる解説員の梶原洋子さん(72)は「陣羽織の後ろに刀用の切り込みを入れるなど、細かい手仕事に苦労するが、来館者に喜んでもらえれば」と言う。友の会の川西政幸会長(77)は「御備頭(おそなえがしら)と呼ばれた監物の陣羽織を参考に作った衣装を着て、白老の歴史を町内外の人たちに発信していきたい」と意気込む。
白老仙台藩陣屋は、幕府の命令により仙台藩が1856(安政3)年に築いた北方警備の軍事的拠点。陣屋の全容を残す貴重な遺構として、1966年に国の指定史跡に登録された。町は84年、史跡エリアに資料館を開設した。

















