《5》 受診控えで高まる健康リスク 病院経営にも影響

《5》 受診控えで高まる健康リスク 病院経営にも影響
病院を訪れた人の検温をする看護師=勤医協苫小牧病院

 「受診控えが続くと病院を維持できなくなる」―。たかやなぎ小児科(苫小牧市日新町)の高柳直己院長は懸念を示す。新型コロナウイルスの感染拡大により、患者の受診控えが全国的に問題化する中、同病院でも同様の傾向が見られる。特に国が緊急事態宣言を出した4月から5月にかけては「このままでは小児科の成り手がいなくなるんじゃないかというぐらい経営は大変だった」と振り返る。

     ◇

 12日に厚生労働省の社会保障審議会で示された医療費動向によると、全国医療機関の医療費は4月が前年同月比8・8%減、5月は11・9%減とコロナ禍による受診控えが顕著に表れた。診療科別で小児科は、5月が44・9%減など最大の下落率。高柳院長は「苫小牧も同じ。5月は休みが多いこともあったが、ひどかった」と語る。

 例年であれば夏に流行する手足口病が激減するなど、うがいや手洗いなどの感染予防策が奏功し「元気だから病院に行かないということもあったと思う」と分析しつつ、定期的な検診や予防接種などを受けなくなることを懸念。「病院は病気の人がいるから不安だと病院に来なくなった人もいるのでは」とおもんぱかる。

 内科や整形外科などの診療を手掛ける勤医協苫小牧病院(同見山町)も今年の収益は、前年同期比1割弱の減。外来、健診事業などでの落ち込みが目立った。5月が受診控えのピークで、その後は回復傾向にあったが再び受診控えが強まりかねない気配。三浦秀之事務長は「病気の早期発見が遅れ、重症化に気づかないままでいることが心配」と言う。

 医療機関は感染症対策の最前線だが、「安心して来院してもらえる環境づくりが重要」とさらなる工夫も。その一つが外来の受付窓口付近で取り入れたトリアージ(優先度の選別)。看護師と医療スタッフが2人1組で患者や付き添いの家族らの検温や消毒を行い、発熱などがあればすぐ別室に案内する。適切に必要な治療につなげており「患者や職員を守るため、できることから続けていく」と力を込める。

 柴田内科循環器科(同桜木町)でも受診控えが見られ、ピーク時で患者数は前年同期比15%減という。同院は糖尿病患者が多いが、採血などの必要性から来院が基本。月1回は必ず糖尿病関連の刊行物や手紙などを封入した郵便物、はがきを送り、患者を励ますなどつながりを大事にする。同院の糖尿病療養指導士、柴田智美さんは「定期的に飲む必要がある薬が切れることのないよう気を付けて通院してもらえるようにした」と話す。

 受診控えが慢性疾患などの症状悪化、命の危険にもつながりかねず、市もホームページなどで「かかりつけ医に相談しながら、健康や持病を管理することがコロナ対策にもとても重要」と強調。コロナ禍がコロナ以外の健康リスクをも高める現状に警鐘を鳴らしている。(終わり)

 ※この企画は半澤孝平が担当しました。

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る