新型コロナウイルス感染者の急増で、白老町でも各方面に影響が広がっている。町や民間の主催行事の中止、延期が相次ぎ、町職員らの感染を受けて役場への表敬訪問を急きょ取りやめた団体もある。JR白老駅北の観光インフォメーションセンターの来館者も今月に入り大幅に減り、再燃したコロナ禍は白老観光にも影を落としている。
■相次ぐ行事の中止
道内外のコロナ感染者は、10月下旬から再び右肩上がりで増加。道は同28日、独自の警戒ステージを「2」に上げ、今月7日には「3」に引き上げた。白老町では役場の職員4人が相次いで感染する事態も起きた。第3波の様相を見せる急速な感染拡大は、白老町内にもさまざまな影響をもたらしている。
道の警戒ステージ引き上げを受けて町は、12日に計画していた町職員向け避難所設営研修を中止。町教育委員会も白老コミセンで21日に予定していた地域課題セミナーを延期し、25日の公民館女性講座「手作りスペインタイル」も開催を先送りするなど、感染対策で主催行事の計画変更を余儀なくされている。
この他、白老町町民会議が白老コミセンで28日に開く予定だった環境セミナーも延期。町内会連合会も来年1月の新年交礼会の中止を決定した。
■町議会にも影響
影響はさらに広がりを見せる。白老観光協会は観光振興の要望書を戸田安彦町長に直接手渡すため、24日に役場訪問を予定していたが、急きょ取りやめて書面で提出した。
白老青年会議所の新役員らも、役場内で町職員の2次感染が起きた可能性がある状況を踏まえ、25日の町長表敬訪問を中止。町議会も同日の産業厚生常任委員会と政策研究会の開催を延期した。
また、大町の飲食店が高齢者スタッフらの予防のため、22日から今月末までテークアウトと配達のみの営業にするなど、コロナ禍の波紋は大きくなる一方だ。
■観光客も落ち込む
道内外の感染者急増は、白老の観光にも暗い影を落とし始めた。7月に開業したアイヌ文化発信拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)では、修学旅行など団体客のキャンセルが出始めた。ウポポイ効果で7月以降、来館者数が伸びていた駅北観光商業ゾーン(ポロトミンタラ)の観光インフォメーションセンターも今月に入って激減。21~23日の3連休も、通常の休日に比べて半分程度の人数にとどまったという。
同センターを管理運営する白老観光協会の担当者は「コロナ拡大の打撃は大きい」とため息をつき、先行き不安を募らせる。
白老地区の飲食店・土産店はウポポイ開業の波及効果で夏以降、来客数が伸びたものの、コロナ禍の再燃で今後を懸念する声も出ている。飲食業の店主は「やっと客足が回復してきたのに、これからどうなるのか」と憂える。深刻な感染拡大の状況にある札幌市が24日から12月15日まで、国の観光支援事業「Go To トラベル」の対象外になった影響も心配し、「早く収束してほしい」と願うばかりだ。

















