新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、修学旅行などで予定していた白老町のアイヌ文化発信拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)の見学をキャンセルする学校が相次いでいる。訪問を取りやめた学校は10月下旬以降、これまでに道外の高校など60校近くに上った。コロナ禍の再燃は、生徒らのアイヌ文化を学ぶ機会も奪っている。
ウポポイを管理運営するアイヌ民族文化財団(本部札幌市)によると、修学旅行などで見学予約を寄せた小中高校は、10月27日までの累計で744校(7万58人)=実施済みを含む=を数えた。しかし、道内外でコロナ感染者が急増し始めたことで、11月以降に予定していた見学を取りやめる連絡が相次ぎ、同日から今月24日までに57校(児童生徒数8040人)がキャンセルしたという。
見学を中止した学校は主に道外の高校。いずれも11月から来年1月ごろにかけて北海道への修学旅行を計画していたが、札幌市を中心に道内でも感染が拡大している状況を踏まえ、北海道旅行自体を中止にする学校が相次いだ。
小中高校からの見学予約は順調に推移し、7月から10月中旬までに約340校・約2万6200人の児童生徒がウポポイを訪問。国立アイヌ民族博物館の展示物の見学や古式舞踊の鑑賞などで先住民族アイヌの歴史、文化への理解を深めた。しかし、第3波とされる新型コロナの感染拡大は、子どもたちの学びの機会を奪い、修学旅行生が下支えしたウポポイ来館者数の伸びにも水を差した格好だ。
財団の担当者は「10月も学校からの予約の新規申し込みが伸びていたが、ここに来てぱったりと止まった」と残念がる。修学旅行は国の観光支援事業「Go TO トラベル」を活用できるが、札幌市が24日から12月15日まで対象外になったことで「北海道への教育旅行を取りやめる学校がさらに増えるのでは」と推察し、「ウポポイ見学のキャンセルもしばらく続くだろう」と話している。

















