多文化共生 針に込め 白老にロシア刺しゅうサークル誕生

多文化共生 針に込め 白老にロシア刺しゅうサークル誕生
ロシア刺しゅうの作品を手にするロスピスクラブのメンバーと指導者の林オルガさん(前列左から2人目)

 白老町にロシア刺しゅうサークルが誕生し、地元の女性たちが伝統技法の習得に励んでいる。白老の地域おこし協力隊員でロシア・サンクトペテルブルク出身の林オルガさん(35)を講師に技術を学び、今秋の町文化祭で初めて作品を紹介した。メンバーは「活動を通じ多文化共生をアピールしたい」と張り切る。

 「ロスピスクラブ」と名付けたサークルは、同町東町の工藤二三子さん(77)を代表に、50代から80代の女性ら7人で今年春に結成。毎月1~2回、町内の飲食店などを利用し、オルガさんの指導で制作活動を続けている。

 メンバーはいずれも、アイヌ文様刺しゅうなど手芸を趣味としてきた仲間。オルガさんのロシア刺しゅう作品を目にした際、その美しさと奥深さに感動し、技術を身に付けようとサークルを立ち上げたという。

 ロシア刺しゅうは、地域ごとに縫い方や図柄、糸の色使いなどが異なる伝統文化。古来、刺しゅうを施した織物は祭りなど年中行事の際、家の中に彩る飾り物として使われ、今も小さな村ではその風習が引き継がれている。ロスピスクラブのメンバーが学ぶ刺しゅうは、ロスピシと呼ばれる技法で、動物や植物などがモチーフの図柄を組み合わせた幾何学的な模様を特徴としている。

 縫い方も独特で、赤や黒など1本の糸を一筆書きのようにして刺しゅうするため、「少しでも間違えれば、最初からやり直し。形も複雑で難しいけれど、完成した時の喜びは大きい」と工藤さん。メンバーはロシアの古い図柄で仕上げた作品を10月31日と今月1日の2日間、白老コミセンを会場にした町文化祭に初出品し、来場者の目を引いた。

 白老では伝統文化としてアイヌ文様の刺しゅうが受け継がれ、制作活動も盛んに行われているが、「異なる文化を尊重し合い、共生していく多文化共生が白老のまちづくり方針。私たちのサークルも活動を通じて発信していきたい」とメンバーは口をそろえる。オルガさんも「ロシアの伝統を知ってほしい」と言い、全道的にも珍しいロシア刺しゅうのサークルで指導に熱を込める。

 秋の文化祭への出品を終えたメンバーは「来年も作品展示の機会を設け、多くの人に見てもらいたい」と意欲的。新たな作品の制作に挑みつつ、技のレベルアップにも余念がない。

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