コンクリートメーカーの会沢高圧コンクリート(本社苫小牧市、会沢祥弘社長)が、「自己治癒コンクリート」の生産を始めた。バクテリアの力でコンクリートのひび割れを自己修復する新技術。約2年半、実証実験を重ね、量産体制を確立した。札幌市内に新設したプラントで今月16日に販売を開始。今後、関東や関西でのプラント設置も検討する。
札幌市内のプラントは、同社札幌支社に隣接した技術研究所実験棟内に設けられた。ミキシング、材料計量、パッカー(袋詰め)の各装置から成る。コンクリート材のバイオマテリアル(生体材料)を5分間で600キロ造る能力があり、計量から袋詰めまで約30分で、日産約10トンの連続製造が可能という。
コンクリートのひび割れ対策を事業テーマの一つに掲げてきた同社は2015年、オランダのデルフト工科大学のヘンドリック・マリウス・ヨンカース准教授の研究チームが構築した自己治癒システムを知り、16年に同大を訪問。17年4月に、同大発のベンチャー企業「バジリスク・コントラクティングBV」が生産する自己治癒コンクリート材の日本での独占販売契約を結んだ。
ヨンカース准教授の自己治癒システムは、休眠状態のバクテリアとその餌となるポリ乳酸をカプセル化したものをコンクリート内に配合。ひび割れが生じた際、バクテリアが餌を食べて炭酸カルシウムを排出し、ひびを埋める画期的な手法だ。
自己治癒コンクリートは試作品段階で、(1)カプセルが大きすぎてコンクリート内で安定しない(2)ポリ乳酸の過剰分解が生じ、コンクリートの表面に小さな白い斑点が発生する(3)製造コストが高く大量生産に向いていない―といった課題があった。
そこで特殊なミキシング装置を使用し、バイオマテリアルを製造する改良を決め、ドイツの機械メーカーと共同で装置を開発。これらの課題を克服し、世界初という自己治癒コンクリートの大量生産体制を構築した。
同社は自己治癒コンクリート材を通じ、社会インフラのライフサイクルコスト(生涯費用)削減や脱炭素化に貢献したい考え。会沢社長は「コンクリートの自己治癒化は、将来的には需要を奪うことにかもしれない」としながら「造っては壊すを繰り返す20世紀モデルと決別できる」と胸を張った。
















