鵡川高校吹奏楽部が2020(第26回)日本管楽合奏コンテスト・高校S部門(3~15人編成)で最優秀賞に輝いた。3年生の鈴木楓香部長(17)は「すごくうれしい。1曲に全部を詰め込む勢いでやってきて、今までの中でもレベルの高い演奏ができた」と喜びを実感する。8人の部員が一昨年の胆振東部地震を乗り越え、流行する新型コロナウイルスを吹き飛ばすような明るい話題を地元に届けた。
公益財団法人日本音楽教育文化振興会が主催する全国大会。同部門には審査を経た18校がエントリー。今回は新型コロナウイルス感染症対策のため、事前に動画を撮影して提出する方式で11月21日に演奏がネット配信された。3年連続出場の鵡川高は、6月から練習を積んできたという江原大介さん作曲の「カムイ」を披露。同23日に審査発表があった。
2年前に震災の被害に遭い、今年はコロナの感染症に翻弄(ほんろう)された。今まで当たり前だった日常が奪われ、地震当時1年生だった鈴木部長は「時間、環境を大事にしないといけないことを身をもって感じた」。思いもよらない事態を経験する中で成長した一方、何度もくじけそうになった。部活動をやめようと思ったこともあったという。
特に今年はコロナ禍の影響もあり、昨年引っ張りだこだった演奏会の中止が相次いだ。指導に当たる顧問の青野貴文教諭(32)は「限られた練習だったからこそ、時間を大切に使っていたと思う。今持てる力を発揮したのでは」と評価。「人前で演奏する機会もなかった中で拍手をもらって、心の栄養にもなったはず。少ない人数だからではなく、少なくても頑張っていたら大きな舞台に立てるんだということを、一つの成功体験として感じてくれたのでは」と目を細めた。
鈴木部長は「つらかったり、やめたいと思った時こそ、次に自分が強くなれるチャンス。それが結果になることを実感できた」と感慨深げだった。

















