鵡川神社が完全復旧 胆振東部地震で被災

改修工事を終えてリニューアルされた社殿内

 2018年9月の胆振東部地震で社殿が半壊の被害を受けたむかわ町福住にある鵡川神社がこのほど、改修を終えた。震災から2年が経過し、ようやく元の内外観を取り戻した。近く修復の報告と受けた寄付への感謝を伝える記念誌を発刊する予定だ。

 同神社の由来は、まちの草創の1896(明治29)年ごろ、先人により伊勢神宮の御神体を祭る3・3平方メートルほどの小堂を建てたことが始まりとされる。その後、1911(同44)年8月、大正天皇が皇太子殿下の時に日高地方へ行啓した際、道直営工事で設けた休憩所を記念に保存しようと、原形をとどめて鵡川神社弊殿として使用していた。その後96年、創祀(そうし)100年に合わせて今の場所に社殿を移転遷座していた。

 しかし、2年前の震災の上下左右の揺れで敷地に地割れが発生したほか、社殿の基礎となる柱はずれ、壁のあちこちも剥がれ落ちた状態に。他にも扉が「く」の字になって折れたり、窓ガラスが割れたりなど、今夏までブルーシートで覆うほどだった。

 政教分離の原則などで直接の公的支援は受けられず、「最初の1年は会議を重ねては途方に暮れる状態だった」と三上剛宮司(48)は振り返る。

 それでも「神社を存続させて」「まずは社殿を直して」との声に後押しされ、翌年に復旧復興奉賛会を有志で立ち上げた。寄付金集めを開始し、町内外から多くの善意が寄せられ、今春から約3700万円を掛けてようやく改修工事がスタート。8月末に引き渡しを受けた。三上宮司は「奉賛会の役員でお参りをした時にはうれしかったし、何より感謝の気持ちが大きかった」と感慨深げに語る。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で例大祭などは開催を見送ったが、神社が修復したことで最近は参拝者も徐々に増えてきたという。三上宮司は「直った建物を全体的に見てもらえたら」と話している。

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