専門家の警鐘

専門家の警鐘

 「スタッフはとても疲れている。看護師たちは真っ昼間から泣いている」。AFPが6日、米国テキサス州ヒューストンにある医療機関の医師の言葉を伝えている。新型コロナウイルス感染患者の受け入れが止まらず、「看護師たちは精神的に参っている」という。その医師も連続260日勤務しているのだそうだ。

 コロナ感染者1458万人、死者28万人を数える米国だから仕方がないと片付けてしまうのは早計だ。日本国内の1日のコロナ患者や死者が過去最多ペースで増加傾向が続き、患者を受け入れる病床使用率も本道や兵庫、大阪で50%を超えるなど逼迫(ひっぱく)した状況となっているためだ。

 厚労省の専門家会合も「最大限の警戒が必要」とこれ以上の感染拡大に警鐘を鳴らす。感染の広がりを調べたデータを基に、10~50代の移動が最大の感染源になっているとし、「県境を越えた移動を自粛してもらう必要がある」と具体的に指摘する。

 これにまったく耳を貸さない政府が打ち出したのは来年1月までの予定だった観光支援事業「Go Toトラベル」の延長や東京発着の65歳以上の高齢者の「Go To除外」。まったくちぐはぐ感は否めない。

 先に会見した菅義偉首相は「国民の生命と暮らしを守ることが最優先」と重ねて強調した。日々、奮闘する医療スタッフに感謝の念も示したものの、原稿棒読みに心を揺さぶるほどの迫力は感じられなかった。(教)

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