コロナ考

コロナ考

 日本赤十字社によると、新型コロナウイルスには感染症として三つの顔がある。一つは「病気そのもの」で、残る二つは「不安」、そして不安からくる「嫌悪・偏見・差別」。この3要素がウイルスのさらなる拡散を招くという。

 どのような流れなのか。ホームページでは〈未知のウイルスに対する不安〉↓〈感染に関わる人などを遠ざける〉↓〈差別や偏見を誘発〉↓〈発熱などの症状があっても差別を恐れて受診をためらう人が増加〉↓〈ウイルスがさらに拡散〉と紹介している。ウイルスを忌避することで嫌悪の対象が感染者にすり替わるという構図で、負のスパイラルを断ち切るための正しい理解と適切な対応を強く訴えている。

 感染者が急増している背景には、ウイルスが活性化しやすい空気の乾燥や室温を維持するための空間の密閉、重症化しにくい若者の活発な行動などがあるといわれる。日赤が訴える差別を意識した受診控えなどは実態がつかめないが、潜在的には少なくないのではないか。

 道内のある地方都市で感染した人の個人情報が地域に広がり、日常生活に支障が出ているという話を聞いた。偏見や差別で起きた悲しい現実だ。身近なところで感染や濃厚接触の話を耳にする機会も増え、誰もがリスクと隣り合わせの中で生活している。大切なのは「感染したのは誰か」ではなく「感染しない、させない」こと。念頭に置いて日々を過ごしたい。(隆)

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