気付けば一年で最も日没が早い時期になった。いまだ収束を見ない新型コロナウイルス情勢も相まって、日の入り後の光景がいつになく暗闇に包まれる感覚を覚えるのは、気のせいだろうか。
家路に就くと、やけに自宅内が明るい。間取りから推測するに居間、台所、トイレ、階段、1階洋室と数カ所でライトが点灯中。89歳の祖母がイルミネーションの企画者だ。
日没が早まるにつれて毎年開催されるイベント。「明かりがつかないの」と人感式にしている玄関ライトを点灯させようとスイッチを探し回る内に、働き手を盛大に出迎える準備が整う。
アルツハイマー型認知症になり6年以上がたつ。暗いと不安が増すのか、自身の部屋のカーテンを全開にして寂しそうに外を眺めている。そこへばったり帰ってきた孫。「電気代がもったいない」と注意したい愚かな気持ちを抑え、軽く手を振る。満面の笑みで手を振り返してくれる姿を見て心に明かりがともった。(北)
















