白老町白老769で白老牛を生産する吉田隆三さん(42)=吉田牧場=が、11月に帯広市で開かれた北海道枝肉共励会・黒毛和牛の部(ホクレン農業協同組合連合会主催)と、日胆黒毛和種枝肉共励会(胆振・日高和牛振興協議会主催)でそれぞれ最優秀賞を獲得した。黒毛和牛の枝肉の品質を競う両共励会でトップに輝いた吉田さんは「受賞を励みに白老牛の肥育技術をさらに向上させたい」と意気込む。
日胆黒毛和種枝肉共励会では、同町白老の勝沼正則さん(58)=勝沼牧場=が優秀賞を獲得。吉田さんと勝沼さんの表彰式が9日に町内のしらおい創造空間「蔵」で行われ、ホクレン農協連合会など関係者から2人に賞状が渡された。式に出席した白老町の戸田安彦町長は祝辞で「肥育の努力に敬意を表したい。白老牛は観光客にも人気が高く、今後もいい牛を育ててほしい」と述べ、地元ブランド牛の高品質化に貢献した2人をたたえた。
枝肉共励会は肥育牛の肉質を審査する催し。今年度は北海道畜産公社十勝工場で11月10~14日に日胆黒毛和種枝肉共励会(15牧場・29頭出品)、同25~28日に全道規模の北海道枝肉共励会(110牧場・144頭出品)を開催。吉田さんが日胆共励会に出品した「起久9」(去勢)と、北海道共励会に出した「好久10」(同)の枝肉がいずれも1位となった。白老町内の生産者が全道の最優秀賞を獲得したのは、2010年の阿部正幸さん=阿部牧場=以来10年ぶり。
吉田さんは酪農関係の短大を卒業後、広島県の飼料会社で働いた。25歳ごろに郷里の白老町へ戻り、父親の隆一さんが営む吉田牧場の仕事を手伝った。和牛の繁殖や肥育の技術を息子にたたき込んだ隆一さんは5年前、69歳で死去。吉田さんは3代目として経営を継ぎ、妻の亜須香さん(38)と二人三脚で120頭を飼育する牧場を運営している。
生産した白老牛の枝肉が全道一に輝き、農林水産大臣賞と道知事賞も受賞した快挙に吉田さんは「優秀な牛の系統を築いた父のおかげ」と喜び、「北海道共励会で最優秀賞を逃した父の悔しい思いを受け、私が死ぬまでに何としてでも取りたかった。その願いがかない、天国で父もほほ笑んでいると思う」と顔をほころばせた。

















