誤解

誤解

 真摯(しんし)、誠実である人は、この言葉で自分を説明する必要がない。高慢な人がそれを隠したいときに、この言葉を使うらしい。

 前首相の言動から学んだ。芸能人を含む8人の会食に参加していた菅義偉首相が先日、「国民の誤解を招くという意味では真摯に反省している」と謝罪した。会食は新型コロナウイルス感染対策で国がGo To トラベル事業の停止方針などを発表した日の夜。担当大臣らが、国民に5人以上の宴会を避けることなど年末年始の過ごし方を示したばかりだったから報道各社も首相の行動に反応した。

 「誤解を招く」という言葉にも引っ掛かった。もし、政治家の多くは率先して感染防止に取り組んでいると国民が信じているなら、それは誤解かもしれない。国民はもっともっと厳しく政治や政治家の現実を見ていると思う。最大限の危機感、スピード感を持って、臨機応変に―と言葉を振り回し、トラベルだ何だと既定の方針に固執している間に新規感染者が全国で増え続け、東京では1日当たり800人を超える日も現れたのだ。誤解のないように。自民党内では派閥の忘年会や会食の中止連絡が飛び交っているそうだ。

 会食に招かれカメラを向けられた芸能人、プロ野球OBが困惑しているように見えた。誰がどんな基準で人選したのだろうと考えていたら聞き覚えのある声がどこかから聞こえてきた。「個別の人事の問題については答弁を差し控えたい―」(水)

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