集中

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 幼稚園年長さんの記憶力は侮れない。「正月は行けるからね」。夏に帰省断念を説得したときの一言を根拠に、ぐずる孫がいるらしい。

 わが家のお嫁さんの反省。苫小牧のおばあちゃんとおじいちゃんは、新型コロナウイルスに感染すると重症になる可能性があるからね―と言っても、幼児に理解は難しい。正月にはおばあちゃんのうちへ行って、ごちそうを食べて夜更かしをして、踊っておどけてみんなを笑わせるんだ。そう思って日々、変な顔づくりの練習をしてきた年長さんは先日、青竹に見立ててキュウリをくわえた「鬼滅の刃」の世界の画像をスマートフォンで送ってきた。子どもの成長は早い。届く画像を見ると、背丈がずいぶん大きくなった。ふっくらとしていた顔がきりっと引き締まり、首も長くなって見える。子ネコの足の肉球のように軟らかだった手のひらも硬くなっただろうか。照れや恥ずかしさを覚えてしまう前にもっと会いたいが、それを自分たちで決められないのがもどかしい。

 国内のコロナウイルス感染者数が20万人を超え、死者数も3000人を上回った。欧州各地や豪州、アフリカからは変異種の感染拡大情報も届く。医師や看護師、学者が、決断の遅い政治を叱りながら国民に直接、緊張を呼び掛ける。闘う医療関係者の奮闘を思えば、正月が寂しいと不服は言えまい。感染第3波でも、北海道は全国に先駆けて成果を上げつつある地域。ぐずってなどいられない。(水)

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