特別な師走

特別な師走

 〈雨は夜更け過ぎに 雪へと変わるだろう…〉。札幌の24日は、こんな山下達郎さんの名曲「クリスマス・イブ」の詞のような天候になった。新型コロナウイルス対策の発表で、夜になった鈴木直道知事の記者会見の取材を終え、帰宅途中に札幌駅周辺の地下街を歩くと、複数のケーキショップ前は長蛇の列。ススキノ地区の人出は減っているが、いつもの「喧噪(けんそう)の12月」も混在し、特別な師走が行く。

 あの記事を書いたのは、さっぽろ雪まつり開幕の直前だった。中国・武漢市から来道した40代女性が道内で初めて感染し、道が対策本部会議を緊急開催。あれから、11カ月が過ぎた。知事が初会合で「雪まつりも始まる。一層の感染予防対策が必要だ」と訴えたことを覚えている。

 その後、全国に先行し、感染拡大の「第1波」が本道に襲来し、道が聞き慣れない「緊急事態宣言」を独自に発出。札幌がコロナ報道の主戦場となり、道庁や市役所で深夜の発表が相次ぎ、振り回されたことを思い出す。以来、札幌発のコロナ関連記事は700本以上を数えた。

 現在の本道は「第3波」の真っただ中。日別の新規感染者数は11月20日の304人をピークに減少傾向にあるものの、医療提供体制は逼迫(ひっぱく)する。知事は苫小牧民報のインタビューで「第4波はどうしても生じてくる」とし、医療の負荷を軽減するためにも、年末年始は「静かに過ごしてほしい」と訴える。長い闘いが続く。(広)

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