コロナ禍も教育旅行後押し ウポポイ開業半年入場者20万人 アイヌ民族文化財団が会見

開業半年を振り返る対馬運営本部長(中央)と佐々木館長(左)、村木副本部長(右)

 アイヌ文化の復興と発信のナショナルセンターとして国が白老町に整備した民族共生象徴空間(ウポポイ)が12日で開業から半年を迎えたことを踏まえ、管理運営するアイヌ民族文化財団(本部札幌市)は13日、ウポポイで記者会見を開いた。対馬一修運営本部長は、半年間の入場者数が約20万人に達したとした上で「新型コロナウイルス対策を徹底し、多くの人にアイヌ文化の素晴らしさを体感していただく努力を続けたい」との考えを示した。

 昨年7月12日に開業したウポポイの入場者数は、今月12日までに19万8485人(営業日数計152日)となり、平日で平均1177人、土日祝日で平均1509人が来場した。この実績について対馬本部長は「入場者やプログラム参加者の人数制限など、コロナ対策の制約がある中で20万人もの方々に来ていただいた」と受け止め、「コロナが収束すれば、より多くの方に来場していただけるのでは」と期待した。

 小中学校や高校の教育旅行に関しては、道内外から603校・4万8532人の児童生徒が見学に訪れたと説明。「アイヌの文化や歴史を学ぶ場として学校側から好評を得ている」との認識を示し、「2021年度の見学予約が既に422校(5万320人)から寄せられている」とした。

 一方、開業以降の入場者の動向については、10月まで増加傾向にあったものの、11月以降は減少。12月は8305人と大きく落ち込み、今年に入っても低迷しているとし「コロナ感染の拡大と冬場の寒さが影響しており、施設の管理運営面で厳しい状況にある」と説明。冬期間の誘客に向けた新たなプログラムを実施するとした上で「アイヌ文化の伝承と、その活動を続けるための国民理解の促進という2本柱で引き続き運営に努めたい」と話した。

 ウポポイを生かした地域活性化やアイヌ文化振興を目指す地元白老町への協力、連携については「新年度に向け町と継続して話し合う機会をつくり、これまで以上に関係を強めていきたい」との考えを示した。

 国立アイヌ民族博物館の佐々木史郎館長は、展示物について「おおむね好評を得ているが、熊の霊送り儀礼にちなんだ展示の解説など一部で説明不足もあり、改善を図りたい」とした。展示物の入れ替えに関しては「2カ月に1度のペースで行っており、最近ではアイヌ神謡集の著者・知里幸恵のノートやアイヌ歌人・森竹竹市の作品を加えるなど、常に新しい展示物が見られる博物館を目指したい」と述べた。

 また、運営本部の村木美幸副本部長は今季実施する冬のプログラムを説明した。

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