パンデミック

パンデミック

 降り積もった雪を吹き払う風を「浚風(さらいのかぜ)」と呼ぶのだそうだ。先日、歩いた札幌の中島公園で、そんな風が吹いていた。きょうは小正月。20日には大寒を迎え、厳冬の季節が行く。

 年末年始は苫小牧に帰省せず、鈴木直道知事が呼び掛けた「静かな年末年始」を実践し、札幌で過ごした。読みたかった本を何冊か、まとめて読んだ。その中で世界的ベストセラーとなった「サピエンス全史」など三部作の著者で、歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏の「緊急提言 パンデミック」(河出書房新社)が、心に響いた。

 ハラリ氏は、私たちが直面している最大の危険は「ウイルスではなく、人類が内に抱えた魔物たち、すなわち憎悪と強欲と無知だ」と言い切る。根も葉もない陰謀論や利己的な政治家ではなく「科学的データや医療の専門家を信じるという選択をするべきだ」と警鐘を鳴らす。

 世界では欧米など一部先進国で新型コロナウイルスのワクチンの接種が始まった。日本でも2月下旬からの接種開始を目指すという。一方で過熱するワクチン獲得競争から貧困国は取り残され、先進国の「買い占め」に対する批判も高まっている。ハラリ氏もコロナに打ち勝つためには「グローバルな行動計画」の必要性を強く訴える。

 道内では年明け以降、新規感染者が増加傾向で、知事は「集中対策期間」の延長を決めた。初感染の確認から間もなく1年。長く、難しい報道が続く。(広)

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