白老東高3年生 動画でウポポイPR アイヌ文化発信の様子収録

ウポポイPR動画の製作に当たった白老東高3年の井元絵梨さん(左)と常本翔生さん

 白老東高校(高野隆広校長)の3年生らが授業の一環で、地元に開設された民族共生象徴空間(ウポポイ)を紹介する動画を作った。生徒たちがウポポイを訪ね、アイヌ民族の歴史や文化を発信する施設の取り組みを映像にまとめた。製作に当たった生徒らは「ウポポイの魅力を伝えたい」と意気込む。

 同校は、歴史的にアイヌ民族と深い関わりがある白老の高校として、アイヌ文化をテーマにした授業「地域学」を2018年度から取り入れている。地域学は3年生の選択科目で、これまでにアイヌ語学習や伝統工芸の製作体験、狩猟時の仮小屋(クチャ)作りなど昔の暮らしを学ぶ野外学習を行った。

 今年度は生徒27人が地域学を選択し、アイヌ文様刺しゅうや口琴ムックリ作りなどを体験。また、生徒自らが動画を製作し、アイヌ文化を伝える初の試みも授業に採用した。

 動画はウポポイの紹介を主題とし、昨年秋から冬にかけて生徒が施設を訪問。アイヌ民族の歴史と文化を紹介するウポポイの取り組みをスマートフォンで撮影し、1本2分半程度の映像8本を作製した。

 動画には、アイヌ民族の衣装や生活用具といった資料がある国立アイヌ民族博物館の展示室、古式舞踊上演の体験交流ホールなどが立ち並ぶ園内の様子、復元した伝統家屋チセの内部などを収めた。ウポポイから見えるポロト湖や森の美しい風景も撮影し、アイヌ文化復興・発信のナショナルセンターとして国が整備した施設の魅力を伝える内容に仕上げた。

 動画製作を前に生徒らは映像関連会社の社員から撮影のノウハウを学び、作業に挑んだ。撮影に関わった白老出身の井元絵梨さん(18)は「地元の小中学校でアイヌ文化を学ぶ機会はあったが、動画作りなど今回の授業でアイヌ民族に関する知識をより深めることができた」と言い、苫小牧市出身の常本翔生さん(18)は「白老の高校ならではの貴重な体験で、とても新鮮だった。間もなく高校を卒業するが、学校を離れた後もまたウポポイを訪ねたい」と話した。

 地域学を担当した志田健教諭は「生徒たちが受け身でなく、撮影から編集まで自主的に臨んだことに授業の意味がある。ウポポイを管理運営するアイヌ民族文化財団の協力にも感謝したい」と話し、製作した動画の活用を今後検討していくという。

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