春は

春は

 道産子。子どもの頃から冬も寒さも嫌いではなかった。夏の暑さには逃げ場が少ないが、服装でしのぐことのできる冬は過ごしやすい。

 寒さは老いの敵らしい。母が晩秋になると「冬が来るね」と憂鬱(ゆううつ)そうに繰り返していた声を思い出す。自分も冬がつらくなってきた。歩くスキーと西洋かんじきは物置の備品のようになってしまった。

 春はまだか。手元の「理科年表」を開いて二十四節気の表を確かめた。月に二つずつ季節の節目「節気」があり、節分や彼岸などの「雑節」も加わって、暦が季節を案内してくれる。1月は5日が小寒、20日が大寒。今冬は初冬から強い寒波に見舞われていたせいか、1月だけがとりわけ寒いという印象はなかった。雪の少なさは1月末になって帳尻を合わせたらしく、29日は朝から予報通りの猛吹雪。「あすまで大荒れ」の言葉にせかされ、強風の中で雪かき道具を手に、フラフラしながら30分ほど久々の作業に追われた。

 2月は春の始まり。地球の公転周期の関係で124年ぶりとなった「2日の節分」が過ぎ、きょう3日は立春。「暦の上では」というただし書きが当たって真冬日の寒さだ。それでも札幌の日の出は元日に比べ30分ほど早まり、日の入りは40分ほど遅くなった。晴れた空の太陽が朝も日中も、高くまぶしく感じられるようになった。18日の雨水(うすい)の頃にはもっと春らしくなる。新型コロナウイルスにおびえる2度目の春。(水)

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