三浦綾子記念文学館(旭川市)の特別研究員、森下辰衛さん(58)の文学講演会がこのほど、苫小牧市豊川町の糸井福音キリスト教会で開かれた。市民約15人が短編「井戸」の解説に聞き入った。
「井戸」は第一短編集「病めるときも」(1969年)に収録され、露悪的で奔放な女性、加代が愛する教え子を死なせた痛みに向き合えず悲劇に向かっていく姿を描いている。
森下さんは、作中に登場する病人が語る「痛み」について「病に気付く『いいもの』で、自ら犯した罪の痛みや愛する痛みと向き合うサインでもある」と述べた。愛する人の死は加代にとって痛みだったが、痛む勇気がなかったために自身や他者を傷つけ、悲劇的な結末を招いたとした。
タイトルの「井戸」は加代の実家の枯れ井戸として登場するが、「教え子の幻影を重ねた相手に殺される際に噴き出した血は、ひからびた心の井戸から噴き出した命の痛みだった」と解説した。一方でこれを「あくまで一解釈」とし、「井戸は何を象徴するのかなどを読書会などで話し合い、交流してほしい」と呼び掛けた。
















