産業廃棄物処理場建設めぐり平行線 町や近隣自治会は反対 町民の不安大きく 安平

産業廃棄物処理場建設めぐり平行線 町や近隣自治会は反対 町民の不安大きく 安平

 安平町の早来北進地区で大手産業廃棄物処理業者「大栄環境グループ」(本社大阪府)傘下にある町内の「DINS北海道」が計画を進めている産業廃棄物処理場の建設。かつて町内で計画を進めていた「リブロック」の株を取得し、事業を引き継いだものだが、町や近隣自治会の住民は建設に「反対」する姿勢を変えておらず、建設計画をめぐって長い期間、平行線をたどっている。

 最終処分場の建設計画は、旧リブロックによって2014年ごろから動き出した。16年に胆振総合振興局に許可申請を提出し、17年に同振興局から許可を受けた。

 ただ、近隣の北進、守田、東早来、緑丘の4自治会や町は地下水の汚染水や公害などの影響を懸念し、当初からこの事業に反対の姿勢を貫いている。町内ではすでに同業の早来公営が事業を行っており、北進地区に住む男性は「この小さな町に産廃施設は二つも要らない。将来の子どもたちのためにも、胆振東部地震と同じ規模の地震が起きた時に本当に大丈夫という保証はあるのか」と疑問を投げ掛ける。環境省にも北海道の許可に対する行政不服審査請求を出しており、現在返答を待っている状況だ。

 町としても「反対の要請を聞き入れてもらえていない」と道の対応に納得できない様子。及川秀一郎町長は14日に開かれた町民との意見交換で改めて反対の考えを示し、「町民と同じ方向を向いて、子どもたちのために許可を覆す取り組みをしていく」と述べた。

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 廃棄物問題について調査する廃棄物処理場問題全国ネットワークの藤原寿和共同代表によると、「実態を問題にする人がいないため、許可が出されて建てられるが、稼働後に公害が発生するケースは全国各地で起きている」と指摘。安平町については計画予定地が地震の震源地に近く、周辺で地割れや土砂崩れが起きている場所であるため、町民の不安は一層大きい。

 DINS北海道には町や町民を納得させるだけの理由説明が求められ、同社は昨年から住民説明会を開催し、事業概要などを提示してきた。担当者は「地震による大規模な被害、影響はない。同等クラスの地震が将来起こった際の施設の安全性についても問題ない」と強調。今後も「丁寧に説明を差し上げて、ご理解をいただけるよう努めていく。『大栄環境グループが来て良かった』と思っていただけるように努力したい」と理解を求める考えを示している。

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