登別市の水族館・登別マリンパークニクスは、飼育している雌のカマイルカに特別な処置を施し、同館として初めてイルカの妊娠に成功した。生殖機能を高める投薬などが功を奏し、今年夏に出産する見込みという。同館の飼育員は「慎重に体調を管理し、無事に赤ちゃんが生まれてくれれば」と期待している。
同館は、雄と雌それぞれ2頭のカマイルカ、雌2頭のバンドウイルカを飼育している。カマイルカの雄雌は同じバックヤードプールで育てており、時期になれば交尾の繁殖行動も見られるものの、妊娠には至らなかった。
原因について飼育課は、「雌の周期的な排卵がうまくいかず、授精できないのではないか」と推測。生殖機能を整え、排卵を促すために昨年から薬を投与して経過を観察。血液や尿の検査、超音波(エコー)検査などを行いながら、昨年秋に雌1頭の妊娠を初めて確認した。飼育員が現在、慎重にイルカの体調管理を続けている。
妊娠したのは、同館で2002年から飼育している「キヨ」(推定19歳)。飼育課の桒山未来さん(55)は「他の水族館の例を見れば、死産も多く、無事に生まれても3~5年で死んでしまうケースも少なくない」と、管理の難しさを説明する。キヨの出産は順調にいけば「7月下旬か8月上旬」と予測している。
出産への安定した環境を維持するため、生まれる兆候が表れ次第、出産場所のバックヤードプールとつながるプールでのイルカパフォーマンスを一時中止する予定。桒山さんは「水族館が観光施設ということだけでなく、生物の種の保存を担う役割、機能を発揮していくためにも、出産とその後の子育てを成功させたい」と話している。
カマイルカは、北太平洋の寒帯から温帯域の外洋、沿岸に群れで生息する。体長は雄2~2・5メートル、雌1・8~2・3メートル。繁殖期は春から秋。妊娠期間は340~350日で、新生児の体長は1メートル程度。出産後の授乳は1、2年続く。




















