今月初旬の休日、日中に苫小牧市西部にいて空を見上げていると、けたたましい鳥の鳴き声と羽音が聞こえた。その方向に目をよく凝らすと、オオジシギだと分かった。
記者は宅地辺縁に立っていて、道路を隔てた先にはヨシが茂り、低木が林をまばらにつくる谷地があった。上昇と急降下を繰り返す1羽が一帯上空を忙しそうに飛び回っていた。この行動は求愛の「ディスプレー飛行」という。繁殖地で雄が雌との出合いを求めて自身を目立たせるように音を出し、飛ぶ。本道の自然豊かな土地で何度も姿を目にした。春に来る渡り鳥で異名は「カミナリシギ」。数年前に訪れた道東の原野では朽ち木に止まる1羽とも遭遇した。
体長は約30センチで、細いくちばしと脚が外見的な特徴。はるか遠い南半球のオーストラリア大陸方面とこの地を往来する驚異的な飛行能力がある。減少傾向は以前から言われ、一昔前は多かった苫小牧の草むら上空に、もっと姿を見掛けた気がする。その豪州で一昨年秋に消失面積10万7000平方キロ超に及ぶ森林火災が起きた。8万4000平方キロ強の本道よりも大きな土地に火が広がり、人的被害はもちろん、さまざまな野生動物にもかなりの犠牲が発生した。
勇払原野を繁殖地の一つとする準絶滅危惧種オオジシギ。近年は日本野鳥の会の生息調査も進行中だ。コロナ禍が覆う人間界だが、きのう愛鳥週間が開幕。この地で命をつなごうとする遠来の鳥を見てほしい。(谷)









