苦悩する人に寄り添う 観音寺住職で臨床宗教師の米本さん 白老町内で無料相談会 

苦悩する人に寄り添う 観音寺住職で臨床宗教師の米本さん 白老町内で無料相談会 
悩みを抱える人たちをケアする無料相談会を続ける米本さん

 白老町虎杖浜の観音寺住職を務める米本智昭さん(37)が、心に苦しみを抱く人たちに向けた無料相談の活動を町内で続けている。道内でまだ少ない臨床宗教師として、医療機関で患者の心のケアにも取り組んでいる米本さんは「コロナ禍の中で孤立し、苦悩する人たちにも寄り添いたい」と言う。

 臨床宗教師は、被災地や地域社会、医療機関、福祉施設などで人々の心のケアに当たる宗教者。2011年の東日本大震災を契機に翌年の12年、東北大学が養成講座を開設。18年には一般社団法人日本臨床宗教師会(東京)が発足し、資格認定制度を創設した。

 オホーツク管内湧別町出身の米本さんは、東日本大震災の悲劇に見舞われた人々の力になりたいと、臨床宗教師を志し、14年に東北大学の養成講座を受講。被災者をはじめ、各地のホスピス施設で終末期の患者を精神面で支える活動に取り組んだ。

 同会の認定資格を取得した後、19年に虎杖浜の観音寺住職に就任。札幌南徳洲会病院で臨床宗教師として活動しているほか、昨年5月から観音寺で無料相談会を毎月開催。「人が集まりやすい場所に」と今年4月に会場をしらおい創造空間「蔵」(本町1)に移し、仲間のソーシャルワーカーや精神看護の専門看護師と共に、さまざまな苦悩を持つ人の相談に応じた。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言で「蔵」が臨時休館となったため、今月の会場は大町3の地域食堂「グランマ」とし、27日午後2~5時に開く。6月以降、基本的に「蔵」を会場に毎月1回のペースで無料相談会の活動を行う予定だ。

 相談会に訪れる人々に対しては、「寄り添いの姿勢と傾聴を心掛けている」と米本さん。じっくりと話を聞いてもらうことで心が軽くなった―と、相談者に喜ばれているという。人間関係が希薄化する地域社会で孤立し、悩みを深める人が少なくない中で「苦しみを吐き出し、気持ちを楽にしてもらえれば」と話す。

 活動費は観音寺の持ち出しで賄っているが、「布教ではなく、1人の宗教者として人々の役に立ちたい」と言う。同じ問題を抱える人が集まり、語り合ったり、支え合ったりするピアサポート活動も札幌市の飲食店を会場に続けており、「いずれ白老町でも取り組みたい」としている。

 27日の「グランマ」での無料相談は、事前予約が必要。申し込みはメールhouzyuji@yahoo.co.jpか、携帯電話090(6265)0157。

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