厚真で御田植祭 11年ぶり新嘗祭に献穀 豊穣の秋を祈願

関係者に見守られ、御田植の儀式を執り行う早乙女ら

 今年秋の新嘗祭(にいなめさい)に上納する献穀米の「御田植祭」が25日、厚真町東和地区にある畑嶋賢蔵さん(60)の田んぼで行われた。農業関係者や来賓など約50人が参加し、出来秋に期待を寄せた。

 新嘗祭は皇居で催される祭祀(さいし)で、五穀豊穣(ほうじょう)と国家国民の安寧を祈る最重要の儀式。毎年、全国から選ばれた農家が栽培した新穀を献納する。とまこまい広域農業協同組合(JAとまこまい広域)によると、厚真町からの献穀は2010年以来11年ぶり6度目となる。

 前夜まで降り続いた雨も上がり、田植え日和となった。水田の脇に設けた祭壇で神事を執り行った後、畑嶋さんをはじめ、早乙女と来賓、関係者らが田んぼに入り、田植えを開始。約1カ月育てた15センチほどの「ゆめぴりか」の苗を、約103アールの田んぼに丁寧に手植えしていった。

 とまこまい広域農業協同組合の宮田広幸組合長は「胆振東部地震で被害に遭った導水管、土砂の撤去など復旧作業が進む中で、新嘗祭の献穀は6度目の名誉ある取り組み。豊穣の秋を祈願したい」とあいさつ。宮坂尚市朗町長は「地震の震源地として大きな被害を受け、3度目の春を迎えた。厚真町は震災と新型コロナウイルス感染症の二つの災禍と戦っている中で、久々の明るいニュースになった。秋には立派な米に育って、宮中に納められることを祈っている」と激励した。

 献穀者に選ばれた畑嶋さんは「こういう機会に立ち会えることは、やりたくてもできない大変名誉なこと」と喜びをかみしめながら、「天候もあると思うが、無事に収穫して天皇陛下のところへお持ちできたら。それが一番」と意気込みを語った。

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