北大の研究グループ 希少種シマクイナの繁殖を勇払原野で国内初確認 世界初、巣立ちひな撮影

勇払原野で撮影されたシマクイナの巣立ちひな。生後1週間ほどとみられ、全身が黒い幼綿羽に覆われている=2018年8月18日、苫小牧市内(先崎助教提供)

 北海道大学大学院地球環境科学研究院の先崎理之(せんざき・まさゆき)助教(33)らの研究グループが、苫小牧市東部地域を中心に広がる勇払原野で、国内で初めて希少種シマクイナの繁殖を確認した。巣立ちしたひなの撮影は世界初。シマクイナが国内繁殖種であることも明らかにした。

 シマクイナは極東地域に分布し、全長13センチほどとクイナ科鳥類の中では世界最小。関係者によると、最も生態が謎に包まれた野鳥の一つで、2016年にロシア沿海地方の湿地帯で卵殻が発見されるまでは詳しい繁殖地さえ分かっていなかった。

 巣立ちびなは、これまで公式には未確認。日本列島は越冬地とされてきたが、生息数は極めて少ないと考えられてきた。このため、国際自然保護連合のレッドリストの「危急種」。環境省レッドリストでは近い将来、絶滅の危険性が高い「絶滅危惧1B類」となっており、国内希少野生動植物種にも指定されている。

 15年ほど前から夏ごろに青森県三沢市の仏沼や釧路湿原などで数羽~数十羽の個体群が相次いで確認され、国内で繁殖している可能性が指摘されていた。

 先崎助教らは12年以降、毎年個体の飛来が確認されていた勇払原野の湿地で繁殖状況を調べるため、18年5~9月に自動センサーカメラの設置や定期的な巡回観察を実施。同年8月12、18両日に目視でシマクイナの子連れ1組(成鳥1羽と巣立ちびな6羽)の確認に成功し、同26日には巣の発見にも至った。

 巣の発見は1906年以来、112年ぶりで、これらの経緯や検証などをまとめた論文は4月28日、「日本におけるシマクイナの繁殖記録」の題名で米国の鳥類学専門誌「ウィルソン・ジャーナル・オーニソロジー」電子版に掲載された。

 研究グループは、今後も勇払原野以外の国内繁殖地や繁殖頻度などを調べていく方針だ。先崎助教は「シマクイナの生態保全に貢献できる」と強調。生息地である湿地が国内外で急速に失われている現状を踏まえ、「繁殖の実態をさらに明らかにしたい」と意気込んでいる。

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