新型コロナウイルス感染拡大により、むかわ町穂別地区の高齢者施設でクラスター(感染者集団)が発生して1週間余りが経過した。感染者数は4日時点で46人(3人回復、2人死亡)にもなった。町や北海道なども一体となって対策に乗り出しているが、感染症との苦しい闘いは長期戦の様相だ。
今月上旬の穂別地区―。店の多くは「緊急事態宣言」の発令を受け、臨時休業としてシャッターを閉めた。役場は庁舎内の窓口前に感染症対策として今まで以上に大きなビニールのカーテンを設置し、厳重な態勢を敷いた。町民センターなどを活用した町職員の分散勤務も始め、来庁者との接触を極力控えるようにしている。「できる限り、感染を抑えたい」―。そう語る町職員の表情から緊張感が漂う。重苦しい雰囲気が伝わってきた。
町によると、クラスターが発生した施設では、昨年から外部からの面会を避けるなど感染予防を強化。5月上旬には入所者にワクチン接種も開始し、最善の努力を重ねていた。それでも未知のウイルスの威力はとどまるところを知らず、5月中旬に入所者2人の感染を確認してから、感染者は連日増加。町や施設で公表している感染状況によると、3日時点で新たに入所者、職員合わせて8人の陽性を確認し、感染者数は合計で46人となった。特に入所者に関しては41人(回復者2人と死亡者2人を含む)となり、全体の約7割に達した。
町はこの事態を重く受け止め、感染状況に応じる対応を示す「新型インフルエンザ等対策タイムライン」(試行版)で「緊急事態」と位置付け。道と連携し、現地支援対策本部を設置して拡大阻止に努めるほか、毎日防災無線を通じて一層の注意を町民に呼び掛ける。
施設では職員がマスク、防護服を着用して従事し、入所者は陽性者と陰性者で棟を分けるなど感染予防を徹底。町は施設にとどまっている職員の寝食の場として、空いている職員住宅や公営住宅を貸し出すなど協力している。
町総務企画課は「終息まで早くても1カ月はかかると言われている。しっかり状況を見ていく」と話す。今後も防災無線と情報端末を通じ▽施設に対する不当な差別や偏見、誹謗(ひぼう)中傷などを決して行わない▽医師、看護師、介護スタッフに寄り添う気持ちと支援などを訴えるほか、「マスクの着用、手洗い、人との距離を取る」感染対策を徹底させる考えだ。

















