苫小牧市は、本庁舎1階の総合窓口フロアで窓口業務の民間委託を始めて1年半近くが過ぎた。窓口業務の民間委託は初めてで、利用者からの評価は高いが、公共サービスの継続性をどう保つのか心配する声も聞かれる。
総合窓口フロアは昨年1月に北庁舎1階でスタート。戸籍・住所変更などの届け出や各種証明書発行などを担う「窓口サービス課」と、国民健康保険や介護保険、後期高齢者医療、年金の各業務を扱う「保険年金課」が向かい合う配置で、窓口業務の一部をパーソルテンプスタッフ(東京)に委託した。
同社は全国の自治体で受託実績を持つ人材派遣会社で、市は窓口サービス課の▽住民異動▽戸籍の受け付け▽住民票▽印鑑登録証明書―など約9割の業務を委託。公務員同様の法令順守を求めている他、各手続きの最終チェックは市職員が行う態勢も残している。
同社の常駐スタッフ「フロアマネージャー」が次々と来庁者の用件を尋ね、対応窓口を案内する。スタッフはインカム(無線通信機器)で連絡を取り合い、異動時期や混雑時間帯を見て、人員配置も柔軟に増減させる。同社は「民間ノウハウを生かし、スタッフ育成業務のマニュアル化、業務や応対の品質のモニタリングもする。従業員はほぼ地元雇用で、雇用機会の創出も実現できた」と強調する。
市が昨年10月に実施した来庁者アンケートで、窓口サービス全体の満足度を尋ねたところ、回答者230人のうち80・9%が「満足」と答え、「やや満足」を含めると97・4%に達した。「案内の人がすぐに声を掛けてくれたので、助かった」など好意的な意見が多かった。
一方で、懸念の声もある。市職労自治研推進委員会は4月、市の窓口を頻繁に利用する司法書士、行政書士、土地家屋調査士など14事業者(人)が回答したアンケート調査の結果を公表。8人がサービスの質を「悪くなった」とし、主な理由に「手続きに時間がかかる」と回答した。
関係部署の職員への聞き取りでは、委託後の減員や新たな業務発生に伴う負担増に加え、窓口業務や入力作業を経験しない職員が増え、今後、ノウハウの蓄積機会が失われる影響が指摘された。また「一連の業務を一体的に行っていたものをあえて分断し、混乱させている」と委託を問題視する意見もあった。
窓口サービス課の正規職員(4月時点)は委託前から8人減の11人で、福祉関係部署を中心に人員の再配置を進めている。同課の担当者は「業務全体を見直す機会につなげ、効率化やサービスの向上を目指したい」としている。
















