はかり

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 国民の命がないがしろにされている気がして仕方がない。医療が逼迫(ひっぱく)し、必要な治療を受けられないまま亡くなる人を含め、全国で日々何十人もの命が新型コロナウイルスで奪われている。その中でただただ東京五輪開催に突き進む政府の姿勢を疑う。

 先週、政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾見茂会長が国会の委員会で「こういうパンデミック(世界的大流行)の状況でやるのは普通はない。やるなら強い覚悟でやってもらう必要がある」と発言した。国民の不安や専門家の懸念を払うような五輪の開催方法、五輪を開催する場合の感染リスクの低減策を明確に示さない政府に、徹底した対策の実施と説明を求めた。五輪後の感染拡大が心配な一人として、よくぞ言ってくれたと思っている。けれども五輪担当大臣は「全く別の地平の言葉」、厚労大臣は「自主的な研究の成果」と切り捨てた。不都合な言に聞く耳はないようだ。

 昨年、五輪延期が決まった時、1年後はワクチンを含め感染対策の”アンダー・コントロール”だろうと期待した。我慢続きのこの1年は何だったのか。

 願わくば白血病と闘いながら世界の舞台に戻ってきた池江璃花子選手が五輪で勇躍、泳ぐ姿を見たい。苫小牧や本道ゆかりの選手を応援したい。健闘する記事を本紙に大きく載せたい。

 安全を担保する策を示してほしい。国民の命が、五輪後の政権浮揚を描く政治家のてんびんばかりに掛けられている。(司)

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