白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)で13日に開催される東京五輪聖火リレーの点火セレモニーに、アイヌ民族文化財団職員の山道ヒビキさん(32)=白老町在住=が代表ランナーとして参加する。新型コロナウイルス感染拡大のため道内で13、14日に予定されていた公道リレーが中止され、白老町と札幌市での点火式典のみとなった中、「聖火にさまざまな願いを込めて走ろうとしていたランナーの思いを背負って臨みたい」と意気込む。
平取町二風谷出身で幼い頃からアイヌ文化に触れ、母親や周囲の伝承者に学びながら育った。20代の3年間、白老町の旧アイヌ民族博物館で行われたアイヌ文化伝承者育成事業のプログラムに参加。その後、同博物館に就職し、現在はアイヌ民族文化財団が運営するウポポイで舞踊グループのリーダーを務めている。
昨年、聖火ランナーとして白老町内のコースを走る予定だったが、コロナ禍で五輪開催が延期となったため実現しなかった。今年もランナーに選ばれたが、ウイルス感染者の急増で今度は道内の公道リレーが中止に。「残念だけど、しょうがない」と諦めていたが、東京五輪・パラリンピック競技大会組織委から今週、「点火セレモニーに代表ランナーとして参加を」と依頼の連絡が入った。
道内各ルートを走る予定だった200人余りのランナーの中で、代表に選ばれたのは山道さんと札幌市の中学生の2人のみ。13日に白老、14日に札幌で無観客開催されるセレモニーにそれぞれ参加し、ステージ上でトーチにともした聖火を聖火皿へ移す役目を担う。
「北海道まで聖火をつないでくれた道外ランナー、走ることができなかった道内ランナーの思いを受け取り、会場へつなげたい」と山道さん。自身が取り組んでいるアイヌ文化の伝承活動を踏まえ、多文化共生や多様性が尊重される社会の実現も願いながら式典に臨む。昨年結婚し、今年は子どもを授かった。家族の応援を背に、大役を果たすつもりだ。

















