第74回北海道高校陸上競技選手権大会兼秩父宮賜杯第74回全国高校陸上競技対校選手権大会道予選会第3日は17日、室蘭市入江運動公園陸上競技場で男女のトラック、フィールド9種目の決勝が行われた。男子5000メートルで北海道栄の森春樹(3年)=明倫中出身=が14分5秒98で優勝。藤本雄大(同)が14分56秒54で5位となり、そろって高校総体出場を決めた。
女子走り幅跳びの堀下結愛(道栄1年)は5メートル27で7位。全国切符に惜しくも届かなかった。
【男子】
▽400メートルハードル (1)殿山凌平(旭川大高)52秒86(2)篠原(網走南ケ丘)(3)木村(札幌南)▽800メートル (1)五島圭祐(函館中部)1分57秒50(2)澤村(札幌山の手)(3)布村(北海)▽5000メートル (1)森春樹(北海道栄)14分5秒98(2)キンヤンジュイ(札幌山の手)(3)大橋(同)▽走り高跳び (1)奥林元気(札幌工業)2メートル01(2)中島(恵庭南)(3)上ケ嶋(札幌英藍)▽やり投げ (1)鈴木陸人(帯広農業)61メートル04(2)橋堀(札幌新川)(3)伏見(富良野緑峰)
【女子】
▽400メートルハードル (1)能戸美乃(市立函館)1分2秒35(2)遠藤(石狩翔陽)(3)井内(札幌東)▽800メートル (1)上西彩未(立命館慶祥)2分15秒81(2)小林(旭川東)(3)田口(札幌北)▽走り幅跳び (1)小林美月(札幌日大)5メートル84(2)山田(旭川大高)(3)神田(立命館慶祥)▽円盤投げ (1)辻茉侑(函館大妻)35メートル32(2)多田(深川西)(3)鈴木(市立函館)
― 森、圧巻のラストスパート
男子5000メートルのラスト1周を告げる鐘が鳴った瞬間、森(3年)が一気にギアを上げた。前を走る札山の手の外国人留学生キンヤンジュイ(同)をコーナーで抜きトップに。向かい風が吹くバックストレートで一時並ばれたが、「絶対に負けたくない」とさらに加速し振り切った。
最後は4秒近く差を付けゴール。「スパートには自信があった」と満面の笑みを浮かべる道栄駅伝部のエースが、ようやく大願を成就させた。
長い長い2人だけの旅路だった。序盤からキンヤンジュイがハイペースでレースを引っ張り、森は背後に付いて勝機をうかがった。中盤以降にラップタイムが落ち「記録じゃなく1番を決める戦いになる」と森はすぐさま判断。終盤のスパート勝負へ体力を温存させ、仕掛けたタイミングは「相手の呼吸が乱れている」と感じた時だった。
キンヤンジュイとは2年連続で道高校駅伝の3区で同走し、いずれも敗れていた。1年時は51秒あったリードを逆転された。昨年は1秒差でたすきを受け取り追走したが、さらに40秒もの差を付けられた。周囲から「留学生とのレースだから仕方ない」と毎回慰めの声を掛けられたが、心は晴れなかった。「どこかで勝てないかもと思っていた」。そんな自分と決別したかった。
遠かったライバルの背中をようやく捉え、そして越えた。「これで自信が付いた」と森。道高校記録(14分2秒41)更新、さらには目標の13分台も現実味を帯びてきた。
高校総体には、今年4月に高校歴代4位の13分42秒50をマークした佐藤圭汰(洛南)ら実力者が待ち受ける。「駆け引きに対応できる体力やスピードを付けたい」と意気込んだ。
―5位入賞・藤本(道栄3年)、転倒アクシデントも底力
藤本(3年)が転倒のアクシデントに見舞われながらも、しぶとく全国出場権をつかんだ。「集中力を切らさず落ち着いて走ることができた。ほっとした」とはにかんだ。
1000メートルを通過した辺りだった。第2集団中央でレースを展開していた藤本だったが、後方の選手と足が接触しトラック上に倒れ込んだ。一瞬「焦った」と言うが、すぐに集団に追い付き力走を続ける姿は目を見張った。
今年に入って度重なる貧血に悩まされ、満足のいく練習が積めなかった。一抹の不安はあったが、試合会場は練習でもよく使用する慣れ親しんだ場所。「会場の雰囲気にも恵まれて、自分の力が出し切れた」と話す。
課題は終盤。目標の3位を狙ってスパート勝負したが、「スピードを一気に切り替えるほどの余裕がなかった」。自己ベストは昨年末にマークした14分42秒。「(14分)30秒台で走れるようになって、決勝進出を目指したい」と力を込めた。




















