新店舗で営業スタート たい焼き店「いっぷく堂」 震災乗り越え 町内外から客 「むかわ竜」グッズも販売

常連客と談笑する工藤さん

 2018年9月に発生した胆振東部地震で自宅兼店舗が全壊する被害を受けたむかわ町のたい焼き店「いっぷく堂」が24日、町内美幸2の町役場庁舎横に新たな店舗を構え、営業をスタートさせた。新装オープンを祝おうと朝から店には常連をはじめ、町内外からたい焼きを買い求める多くの客が訪れてにぎわった。

 いっぷく堂は15年7月に町内松風でオープン。震災で建物が全壊した後、19年4月から松風に仮設店舗を構えて営業してきた。

 新店舗は、昨年11月に引っ越した住居の敷地内の車庫兼倉庫を改修した平屋建て。クリーム色の外壁が特徴で、店主の工藤弘さん(68)が仮設店舗で営業をしながら、床の塗装を自ら手掛けるなど急ピッチで準備を進めてきた。出入り口にスロープを付け、高齢者にも配慮。店内にはハドロサウルス科の恐竜「むかわ竜」(通称)の縫いぐるみやクリアファイルなど、同店のオリジナル商品「恐竜たいやき」の関連グッズの販売コーナーを設けた。

 この日は、開店時から花束を持参した常連客が途切れることなく訪れた。「おめでとうございます。ほんの気持ちだけど」「何も気を使わなくていいのに」―。そんなやりとりが後を絶たず、むかわ竜をかたどった「恐竜たいやき」などが飛ぶように売れた。苫小牧市から駆け付けた自営業の三河敏光さん(68)は「店舗が大きくなったし、高齢になってもできる商売。気楽に長く営業を続けてほしい」と期待を寄せた。

 工藤さんは「オープンを祝って、お客さんがいつもよりも多く来てくれた。中には初めての人もいた」と笑顔を見せ、「健康であれば、20年でも30年でもやるさ」と話していた。

 商品は「たい焼き」(あん、クリーム)が1個120円。「恐竜たいやき」はあんとクリーム、鶏肉にマヨネーズをかけたチキンマヨの3種類があり、いずれも1個160円。今後店内に飲食スペースを設け、9月ごろをめどに全長8メートルのむかわ竜の絵を外壁に描いて飾る予定。

 営業時間は午前9時30分から午後6時までだが、商品がなくなり次第終了する。

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