白老町環境町民会議 貴重な自然に理解深める ヨコスト湿原で町民見学会

白老町環境町民会議 貴重な自然に理解深める ヨコスト湿原で町民見学会
ヨコスト湿原の海浜植物を見学する参加者

 白老町環境町民会議(中野嘉陽会長)は26日、同町東部に広がるヨコスト湿原の町民見学会を初めて開いた。参加者は、海岸や湿地などさまざまな環境に自生する植物を見て回り、環境省の「日本の重要湿地」に選定されている貴重な自然に理解を深めた。

 見学会には町民26人が集まり、ヨコスト湿原保護活動の関係者が案内役を務めた。初めに田村文一副会長が「郷土に残る素晴らしい自然を未来につなぎたい」とあいさつした後、参加者は2グループに分かれてハマナスやコウボウムギ、ハマエンドウ、ハマボウフウなど海浜植物を見学。昭和初期にハマナスの花を摘み取って香料の原料にしたり、昔のアイヌ民族が食材に利用したりと、海浜植物と人の関わりの説明も受けた。

 湿原に自生する植物も見学。自然海岸や砂丘、沼地、河川、草原、樹林帯など複雑な自然を形成し、多種多様な動植物が息づく優れた環境に関心を高めた。

 一方、在来種を駆逐するオオアワダチソウなど外来種の侵入やごみの不法投棄、湿原の乾燥化、希少植物の盗掘といった問題がヨコスト湿原で顕在化する中、参加者は見学会を通じ、白老が誇る貴重な自然環境を守る意識を高めた。環境町民会議副会長の粂田正博さん(71)は「保全活動を進めていく上で、町民にヨコストの環境を実際に見てもらうことが重要」と話し、来年2月にも町民見学会を開く予定という。

 見学会を終えた後、環境町民会議の関係者らは、ヨコスト湿原環境調査の一環として野鳥を観察。ヒバリやオオジュリン、オオジシギ、シマセンニュウなど多様な鳥類を確認した。環境町民会議は今年度、鳥類の生息状況や植生の調査に取り組み、保全の手法を探るために町が来年度に予定する自然環境調査のベースとしたい考えだ。

 ヨコスト湿原は町日の出町と社台にまたがる低層湿原で面積33ヘクタール。町が2010年に実施した自然環境調査では植物463種、野鳥64種、昆虫209種が確認され、絶滅危惧種も少なくない。16年に環境省が「日本の重要湿地」に選定。北海道の自然環境保全指針では「優れた自然地域」とされている。

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