ウトナイ湖野生鳥獣保護センター(苫小牧市植苗)による2020年度の鳥獣の保護個体数は、前年度比42個体減の82個体だった。02年のセンター開設以来最少で、巣立ち前のひな鳥の誤認保護が8羽と、初の1桁台だった。同センターの獣医師山田智子さんは「誤認保護に気付いて元の場所に戻すなど、野鳥の生態への市民理解が着実に進んでいる」と話す。
センターの救護対象は、在来種の野鳥や小動物。人工物や人がけがに関与したとみられるケースであれば原則、受け入れている。20年度に保護した個体はエゾモモンガ1匹を除くとすべて鳥類で、ツグミやヒヨドリが目立った。
保護経緯は車や窓ガラスにぶつかって持ち込まれたケースが48個体と全体の約6割。ネコやカラスに襲われたケースと誤認保護が各8個体、不明は4個体だった。その他14個体のうち、5個体は釣り糸がからまった状態で搬入された。野鳥の生息地に立ち入る人のマナーの悪さが野鳥の生存を脅かしており、山田さんは「ごみを持ち帰るなど基本的なマナーを守ることが野生生物の命を守ることにつながる」と訴える。
治療は傷の縫合や投薬、注射などで、大けがの場合には動物病院が協力。敷地内のリハビリ用ケージで飛行や水辺に浮く練習をできる環境もある。傷病鳥獣の野生復帰率(放鳥率)は一般的な動物病院で約2割とされる中、センターの放鳥率は例年6割ほど。20年度は約7割(56個体)に及んだ。
21年度の保護個体数は6月末時点で、前年度同期比1個体減の5個体となっている。同センターが繰り返し注意喚起しているのは、誤認保護。年々減ってはいるものの、巣立ちから間もないフクロウ類のひな鳥を巣から落ちたと勘違いして持ち込むケースが後を絶たない。6月は巣立ちの時期と重なり、問い合わせが今年も同月末までに30件ほどあった。
山田さんは「近くで親鳥が見守っている可能性が高いので、そのままにしておいてほしい」と強調。「自力で木によじ登って枝の上で親の世話を受けながら徐々に飛ぶことを覚えるため、人の手が関わることで親鳥が育児放棄してしまう可能性もある」とし、理解と協力を求める。
同センターは市と環境省が共同で開設した機関。専属の獣医師がけがをした野鳥などの治療に当たっている。



















