ボルトやナットなどで作る金属製ミニ人形「ボルタ」を製造販売するNPO法人テツプロ(室蘭市)は、アイヌ文化を表現した新商品を開発し、白老町内で先行販売を始めた。アイヌ民族の口琴ムックリを奏でる姿などをモチーフにした人形で、テツプロは「アイヌ文化を多くの人に伝えたい」と、製作費の資金調達に向けて1日にクラウドファンディング(CF)も開始した。
鉄のまち室蘭市を盛り上げたいと、2004年に発足したテツプロは、06年から本格的にボルタの製造販売を開始。同市輪西町のボルタ工房を拠点に有償ボランティアのメンバーらが人形を製造し、これまでにさまざまなポーズの人形約130種類を開発、販売している。
アイヌ文化を取り入れたボルタの開発は、昨年7月の民族共生象徴空間(ウポポイ)開業がきっかけとなった。観光業界の関係者から「アイヌ文化にちなんだボルタを作ってみてはどうか」と勧められ、ウポポイを運営するアイヌ民族文化財団の助言を得ながら開発に着手。何度も試作を重ねて試行錯誤し、「モルエラニボルタ」と名付けた新商品を完成させた。
ステンレスのボルトやナット、ワッシャーなどをはんだ付けして仕上げた高さ8センチ前後の人形は、「クリムセボルタ」(2800円)、「ムックリボルタ」(2400円)、「ムックリナッティ」(同)の3種類。サパンペと呼ばれる冠を着けて古式舞踊クリムセ(弓の舞)を踊る男性や、ムックリを奏でる男性と女性の姿を生き生きと表現した。商品を入れるパッケージには、関係者の使用許可を得てアイヌ文様を描いた。
テツプロは、ウポポイ内の売店「ニエプイ」や白老駅北観光インフォメーションセンターでこのほど先行販売を始め、11月には一般販売を開始する予定だ。しかし、「経営が新型コロナウイルスの影響を大きく受けた上、人形やパッケージの製作費、デザイン料など初期費用の負担が重く、量産に取り掛かるのも難しい状況」と言う。このため、生産を軌道に乗せる資金の調達に向けて、CFを活用することにした。
資金支援はCFサイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」で受け付けており、100万円を目標に8月まで続ける予定。支援額に応じてボルタの返礼品を送る。テツプロ・ボルタ工房の川嶋麻紀工房長は「多くの方の支えで生まれた新しいボルタがアイヌ文化を広め、北海道の活性化の一助になるよう協力を頂ければ」と呼び掛ける。
問い合わせはボルタ工房 電話0143(47)8233。

















