名古屋外国語大学(愛知県日進市)の大学生が白老町に滞在し、高齢者スタッフが働く大町商店街の地域食堂「グランマ」で活躍している。地域創生をテーマにした大学の授業で扱われた白老をもっと知りたいと、5月から町に住み、同店の運営に携わっている。抹茶プリンなどスイーツも自ら開発し、8日からメニューに載せる予定で、愛知からやって来た若者の頑張りに店の人々も目を細める。
この学生は、同大世界共生学部3年生の島村美鈴さん(22)。2月に地域創生科目の授業で、地域おこし協力隊員や国立アイヌ民族博物館の職員、アイヌ文化伝承に関わる住民など、白老町で地域活性化や文化振興に携わる人からオンラインで話を聞く機会があり、白老に興味を抱いた。3月には、同大で授業を担当する地田徹朗准教授と町を訪問。元協力隊員でグランマを経営する林啓介さん(39)とも直接会い、より白老の人々や町に魅了された。
海外の大学への留学や編入学を考えていた島村さんは、その準備のため春から休学。新型コロナウイルス感染流行の状況を見ながら渡航するまでの一時期、経験の幅を広げるため、白老町に住むことを決めた。現在、林さんが営む民泊施設で暮らしながら、有償ボランティアのスタッフとしてグランマの仕事を手伝っている。
店では毎日、70代、80代の女性スタッフ6人と共に調理や接客に従事。食材を切ったり、炒めたりと厨房(ちゅうぼう)で頑張る姿を周囲の高齢者スタッフも笑顔で見守る。林さんは「厨房がぱっと華やぎ、孫のような若者の活躍がスタッフに元気を与えている」と言う。
店に出すスイーツ作りにも挑戦した。茶産地・京都府和束町の抹茶を原料に上品な味に仕上げた抹茶プリン(380円、コーヒーセット500円)と、バナナを使ったバナナケーキ(400円、同580円)を考案し、商品化につなげた。「何度も試作を重ねてようやく完成しました」と島村さん。グランマのスイーツメニューは初めてで、午後2時以降の時間帯で8日から提供する。
コロナ禍の中で大学の授業はオンラインとなり、仲間ともなかなか会えない。そうした生活を送っていた中で「毎日いろんな人との出会いと刺激があり、自分の世界が広がった感じ。この経験をこれからの人生に生かしたい」と話す。白老には8月まで滞在する予定という。
グランマの営業時間は午前10時から午後6時で、水曜定休。

















