「選手たち最後までサポート」―元自転車競技選手・木賊弘明さん 五輪テスト大会医療スタッフで参加

東京五輪に医療スタッフとして参加する木賊さん

 東京五輪に医療スタッフとして派遣される苫小牧市在住の元自転車競技選手で作業療法士の資格を持つ木賊(とくさ)弘明さん(41)=白老町職員=がこのほど、有明アーバンスポーツパーク(東京都江東区)で開かれた自転車BMXフリースタイルのテスト大会に参加した。選手救護の手順や新型コロナウイルス対策など、23日に開幕するスポーツの祭典に向けた予行練習を実施。「選手たちが最後までプレーできるようにサポートしたい」と語った。

 東京五輪から正式種目として採用されたBMXフリースタイルは、スロープや曲面で技を競い合う採点競技。テストイベントには日本人選手、運営スタッフら260人ほどが参加した。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会からスタッフ採用を受けている木賊さんは、2019年10月に東京都内で行われたBMXレーシング以来のイベント参加。今回は新型コロナ禍と情勢は一変し、場内動線の順守やセキュリティー強化など「緊張感があった」と言う。

 医師を中心とした4人1組で競技中の転倒などで負傷した選手の救護に当たった。事前の訓練ではコース内に設置された高さ約3メートルの台上まで担架を持ち駆け上がり、けが人の処置を行う動作を繰り返し実施。事故から90秒以内に選手をコース外へ運び出す必要があり、「10回目くらいでようやく基準内で完了できるようになった。スタッフも危険を伴う現場だということが分かって良かった」と振り返る。

 イベント終了後すぐに北海道へ戻ったが、1週間は道内のホテルに自費で宿泊し自主隔離を実施。PCR検査キットも購入して毎日の陰性を確認した。職場復帰は2週間後。先月下旬には交通費自己負担で東京へワクチンの接種にも行った。

 五輪には世界中のトップアスリートが集結する。感染症のリスクは確実に高まるが、「病院で勤務していた経験もあり悲観的には考えていない。職場や家族に迷惑は掛けられないので、やれる防止策はすべてやる」と力強い。

 競技者時代に最大の目標としてきた五輪にスタッフの一員として携わることができる喜びが、日増しに大きくなっている。「4年以上身を削りながら努力してきた選手たちと同じ思いで本番も臨みたい」。木賊さんは24日に東京入りし、25日から8月2日までBMXの各種競技で医療スタッフとして従事する予定だ。

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