23年度開校の「義務教育学校」 「世界」と出会う場所 「復興のシンボル」に 安平

早来中の再建に合わせて建設する新しい校舎の説明をした会見

 安平町は16日、胆振東部地震で被災した早来中学校の再建に伴い、2023年度新たに開校する小中一貫の「義務教育学校」に関する記者会見を開いた。新しい学校のコンセプトは「自分が”世界”と出会う場所」―。震災からの復旧という視点にとらわれない「復興のシンボル」となることを目指しており、一般の住民にも図書館などを開放し、地域とのつながりを生み出す場にしていく。

 早来中は18年9月の地震で、校舎の壁に亀裂が入り、グラウンドの地盤にも被害が及んだ。現校舎の建て替えは難しく、生徒は現在、プレハブの仮設校舎で学校生活を送っている。この現状を踏まえて町は、同校の再建において老朽化している早来小学校を含めた小中一体型の校舎を建設する方向で準備を進めている。

 新しい学校は2階建てで、現早来小に隣接する土地に建設。前期課程(小学生)は、学びの場を自由にレイアウトできるように、教室のスペースを従来より広く確保し、7~9年生(中学1~3年生)はホームルームをする教室とは別に教室を用意し、授業科目ごとに教室を移動して学ぶ仕組みにする。

 図書室は「まちに開かれる」場所として開放し、児童生徒と地域住民のコミュニティーを創出する。インターネットでの予約システムやセキュリティー管理といった情報通信技術(ICT)環境も整備し、学校の音楽室(スタジオ)や美術室(アトリエ)、家庭科室(キッチン)も一般利用できるようにし、共創空間をつくり出す。

 工事は今月から始まっており、来年度中に新校舎が完成。23年度から義務教育学校としてスタートを切る。

 会見には及川秀一郎町長、種田直章教育長のほか、校舎やICT環境の設計を担った企業などの担当者が出席し、説明をした。

 及川町長は「単なる建て替えにせず、復興のシンボルとして老朽化した小学校も合わせた校舎を建て、小中一貫教育を一気に進める。若者や子育て世代の関心を高めることで移住・定住、人口減少対策につなげていきたい」と意欲を示した。

 義務教育学校 2016年度に新設された小学校と中学校の9年間を一体的なカリキュラムで学ぶ新たな学校種。従来の「6・3」制に限らず、義務教育の9年間を「4・3・2」など柔軟に運営できるのが特徴。中学進学時に環境変化で不登校になる「中1ギャップ」の解消などが期待される。

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