夏空と五輪

夏空と五輪

 真夏の空で白い雲が、威張ったように肩をせり出している。札幌は今月中旬から、気温30度超えの真夏日が続く。先日は今世紀に入り初めて、21年ぶりという35度の猛暑日になった。昼夜を問わず、扇風機がフル回転している。

 夏空の下、大通公園には東京五輪の巨大なモニュメントも登場した。愛犬を連れて散歩する人らが次々に訪れ、撮影スポットになっている。札幌駅前通地下歩行空間(チカホ)や駅前通にも、「TOKYO 2020」と書かれたポスターや旗がずらり。機運盛り上げのための「シティドレッシング」(都市装飾)と呼ぶのだそうだが、コロナ禍で市民に高揚感はない。

 直前まで迷走した開会式は質素ではあったが、最後まで見入ってしまった。多数のドローンが上空で地球を描き、ジョン・レノンの名曲「イマジン」を日本の子供たちや、海外のアーティストたちが歌いつないだ。〈想像してごらん 国境なんてないんだと…〉。分断が強まる世界。ジョンのメッセージが、式典をテレビで見た世界の人々の心にも響いたのではないか。

 賛否両論が渦巻いた五輪の競技が本格的に始まった。主催者側は開催の意義を最後までうまく説明できないままだが、アスリートたちの熱い闘いの中で希望を見いだしたい。それにしても札幌のこの暑さ。8月5~8日に行われる屋外の競歩・マラソンの選手たちは、大丈夫なのだろうか。本番当日は、涼風が吹くことを願っている。(広)

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