厚真町本郷在住の高橋康夫さん(70)がこのほど、自転車で北海道の海岸線一周(約2400キロ)を達成した。7月4日から約1カ月かけて、70歳の誕生日を迎える前日の今月1日にゴール。高橋さんは「60代のうちに道内を自転車で回りたいという夢があった。70歳になるまでに戻ってこられてよかった」と喜びを語った。
剣道や山登りなどを楽しみ、胆振東部地震後は仮設住宅の談話室で体操教室も開いていた。自転車は趣味でたしなむ程度だったが、新型コロナウイルス感染拡大による活動自粛のタイミングで敢行することを決意し、7月4日に道南方面に向かって自宅を出発した。
小樽市まで行ったところで、自転車のギアが壊れるアクシデントにも遭ったが、途中で自転車を買い換えて続行。雨の日も休むことなく黙々と自転車をこぎ続けた。宿泊先ではアイシングやストレッチなど体のケアを入念に行い、飲食も毎日調整した。
知床峠や道内一長いと言われるえりも黄金トンネルを越えた。海や街並みで変わる景色やにおいを感じる一方、走れど自動販売機すら出てこない時には「心細くなったりもした」。ロードの途中で「近くを通った人が差し入れをしてくれたり、子どもたちが『頑張れ』と声援を送ってくれたのは感動的でしたね」
妻の真理子さん(70)も期間中、常に連絡を取り、宿の手配などで協力した。周囲からは「無理だから、やめろ」「もう帰ってこい」とも言われていたが、「思い立ったらやり抜くところがある。何でも続けることが得意な人だから」と最後まで後押しを続けた。厚真町に戻った際は友人たちと共にちょうちんや横断幕を掲げて迎えたという。
ゴールから数日がたち、「だんだんと怖さがこみ上げてくる。走っていた時はがむしゃらだったけれど、振り返ってみると車が横を走ったり、トンネルは暗いし、峠なんてよく走ったな」と心境を語る高橋さん。再度挑戦しますか―と聞くと、「もうやらないよ。また違うことを探す」と言って笑った。

















