6日の広島市と9日の長崎市への原爆投下、そして15日は終戦―。76年目の今年も、この3日間と前後に恐怖と苦痛を体験した人たちの、記憶を聴き取る報道が続く。
自分もいろいろな人と出会い記事を書いた。しかし、残念ながら思い出すのは知識と取材力不足が目立つ記事ばかりだ。
テレビの、いわゆる「戦争もの」を見なかった軍隊経験者が身近にいた。サンダース軍曹の登場する「コンバット」のことだ。軍曹が戦ったのはドイツ戦線。日本の同盟軍を打ち負かすテレビ番組を、子どもだけでなく大人も、特に反省なく見ている、不思議な国のありようが許せなかったようだ。1960年前後のテレビ普及期、番組制作能力のなかった日本のテレビ局は、アメリカからホームドラマや西部劇を輸入した。多くの家庭に大型冷蔵庫や自動車のあるアメリカの家庭番組は、その後の日本の、家電製品の普及やマイカーブームの指針。北米大陸の先住民の歴史への無理解や差別も同時に植え付けられたか。自分が「人間の條件」や「私は貝になりたい」の価値を知ったのは、ずいぶん後のことだ。
16日早朝のテレビに、アメリカ軍の撤退が進むアフガニスタンで、都市制圧を優勢に進めていた反政府武装勢力タリバンが大統領府を占拠し写真に収まる様子が映った。ガニ大統領は国外に脱出したとか。ロシアや中国など他の大国の関わりも報道されている。8月も下旬。改めて平和を考えさせられる。(水)









