お国柄

お国柄

 日本―米国の決戦となった東京五輪の野球とソフトボールでは日本が共に勝利を果たしたことは記憶に新しいが、競技発祥の米国には野球に関する傑作映画が数多い。

 小職が子供の頃は「がんばれ! ベアーズ」が大ヒット。日本ロケの高倉健出演「ミスター・ベースボール」、近年の野球新理論を扱った「マネー・ボール」など、時代ごとに話題作の封切りが続く。人気プロスポーツが林立する米国内でも、野球を取り上げた映画の制作本数は突出していて特別の地位に置かれる競技といった観がある。

 「それを造れば、彼は来る」―。天からの「啓示」を受けた一人の中年男がトウモロコシ畑の真ん中に野球場を造るストーリーが映し出される作品「フィールド・オブ・ドリームス」(1990年公開)は幻想的だ。

 あの世にいるはずの野球名選手たちと一家族の交流を軸に「許し」や「心の絆」の大切さを訴え掛ける。米大リーグは今月12日、アイオワ州にあるその作品ロケ地、トウモロコシ畑内の球場でホワイトソックス―ヤンキース公式戦を行い、観客約8000人が集まったという。選手らは映画同様に畑から外野に現れ、主演のケビン・コスナー氏も式典に登場した。コロナの暗雲が覆う夏ながら、この話題に野球母国の粋を感じた。

 もしも苫小牧で「天啓」に始まる物語を考えるなら、真冬、土地に水をまいてスケートリンクを造る場面になるのか―。盆とその前後に夢想した。(谷)

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