3年

3年

 田んぼが黄金色に染まっている。秋の日差しを浴びた景色は、目にもまぶしいほどだ。こうべを垂れる稲穂は、出来秋を予感させる。夏の記録的な暑さも、稲にとっては大歓迎だったようだ。胆振東部の米どころ厚真町は間もなく収穫期。きょう、胆振東部地震から3年を迎えた。

 3年前の地震直後、勤務地だった千歳市内で取材に追われた。地震の衝撃も冷めやらぬ中、大規模停電(ブラックアウト)が追い打ちを掛け、市民生活は混乱した。新千歳空港は全便が欠航し、行き場を失った観光客が市内に流れた。避難所が開設され、炊き出しも行われた。日頃の備えが万全ではなかったことを思い知らされた。

 地震発生から3日目にしてようやく、自衛隊の災害支援活動を取材するため厚真町に入ったが、土砂崩れが広がる光景を忘れることは、生涯できないだろう。土砂崩れでむき出しになった山肌、土砂に覆われた家屋や水田。10年以上前に厚真町に住み、取材を担当した経験もあっただけに、その変わり果てた姿に言葉を失った。

 きのう、きょうと厚真町吉野地区の献花台を訪れ、遺族らを取材し、大事な人たちを失った深い悲しみが癒やされていないことを痛感する。同時にまちが復旧から本格的に復興するため、前向きな気持ちで歩もうとする方も見てきた。地域で共に歩みながら、記憶の継承や教訓を大切に、何を伝えていけるか、考え続けたい。(金)

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