現在、21都道府県に発令中の新型コロナウイルスの緊急事態宣言は、北海道を含む19都道府県で12日までの期限が30日まで延長される。
北海道の8日の新規感染者数は3日連続で100人台に抑えられ、胆振管内も9月に入って1桁の日が多くなった。人の流れを抑えれば感染者は次第に減る。だが、人出が増えれば感染者もまた、たちまち増える。もう何度も何度も経験してきたことだ。ましてや入院したくてもできず、自宅で命を落とす人も出ている。楽観的に解除すべきでないことは、わずか1年半でも「歴史」が証明している。ただ、延長さえすればいいわけではなく、対策の中身が問題だ。
一方で、感染対策と経済活動の両立に向け、ワクチン接種済みか検査で陰性となった人に、県境を越える旅行や大人数での会食を認めるなど行動制限を緩和する方針を政府が固めた。ワクチン接種率は全道、苫小牧市とも4割に達し、65歳以上の高齢者では86%に上る。人と会い、話をするのが最大の仕事とも言える記者にとって、会食の人数制限が外れることには心が動く。しかし2回の接種後に感染した事例もあるし、発病しないため感染に気付かず、人にうつしてしまうことも考えられる。
ワクチンさえ打てば感染は収まるという観測も、ワクチン接種者の優遇も、慎重に考える必要がある。マスクは外せない。念入りな手洗いの習慣を緩めてはいけない。緊急事態宣言の期限にかかわらず。(吉)









