飲食店の利用などを円滑にするので、所持したい人はきっと多い新型コロナウイルスのワクチン接種証明書。国は海外渡航者を対象に紙で交付しているが、年内には海外渡航者以外にもスマホで申請すると、スマホ画面に表示する形で交付を始めるようだ。
電子申請・電子交付の証明書があれば、海外渡航時、入国先の国やその国の店で提示を求められた際に対応できる。国内でも、飲食店やイベントの主催者が「接種済みと確認できる人」に特典を提供し始めた場合に恩恵を受けられる。ただ、申請にはマイナンバーカードが必要で、これには疑問を覚える。
マイナンバーカードはこれから、金融、医療、警察など多様な機関とつながっていく。個人情報の宝庫となり、情報が漏えいすれば及ぶ影響は計り知れない。所有は任意で、交付率は37・6%(9月1日現在)。持っていない人の方が多いカードを、無いと困ることがあり早く欲しいと望まれている証明書の申請で求めるのは、適切と思えないからだ。それに、スマホを持たない人の証明書の申請方法について情報発信されていないことも気になる。
証明書の所管は、9月に新設され、マイナンバー制度全般に関する企画立案も役目とするデジタル庁。証明書の仕様について、昨日まで意見公募をしていた。集まった疑問や意見をよく検討し、望む人すべてが安心して証明書を得られるようにすることを望む。(林)









